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TORENDIA

泣いてゐるお猫さん

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

慾ばりなお猫さんは、新聞の広告を見て賞金一円五十銭を得ようと写真屋へ向かう。途中で借りたリボンを紛失し、泣き顔のまま写真を撮影される。しかし、翌日の新聞にはその姿が一番として掲載される。賞金を受け取ったお猫さんはリボンの代金を支払うためにお隣のあひるさんの元を訪れる。

村山籌子

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🎧 泣いてゐるお猫さん / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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1  ある所にちよつと、慾ばりなお猫さんがありました。ある朝、新聞を見ますと、写真屋さんの広告が出てゐました。

「写真屋さんをはじめます。今日写しにいらしつた方の中で、一番よくうつつた方のは新聞にのせて、ごほうびに一円五十銭差し上げます。」

お猫さんは鏡を見ました。そして身体中の毛をこすつてピカピカに光らしました。そして、お隣のあひるさんの所へ行きました。

2 「あひるさん、今日は。すみませんけど、リボンを貸して下さいな。」と言ひました。あひるさんは、リボンを貸してくれて、

「お猫さん、どうか、なくなさないでね。」と言ひました。お猫さんは、それを頭のてつぺんにむすんで、写真屋さんへでかけました。歩いてゐるうちに、

「早く行かないと、お客さんが一杯つめかけて来て、うつしてもらへないかも分らない。」と思ふと、胸がドキドキして歩いてゐられません。といつて、猫の町には円タクはなし、仕方がないので、大いそぎでかけ出しました。

3  写真屋さんへ来ました。お猫さんはもう一度鏡の前で、身体をコスリ直しました。そして、頭を見ましたら、リボンがありません。あんまり走つたので、落してしまつたのです。

「さあ、うつりますよ。笑つて下さい。」と、写真屋の犬さんが言ひましたけれども、リボンのことを考へると、笑ひどころではありません。今にも泣きさうな顔をしました。

4  写真をうつしてしまふと、お猫さんはトボトボとお家へ帰つて来て、鏡を見ました。涙がホツペタを流れて、顔中の毛がグシヤグシヤになつてゐました。

「これぢやあ、一等どころかビリツコだ。」と思ふと、又もや涙が流れて出ました。

「あひるさんのリボンを買つてかへすにもお金はなし……」と思ふと、又もや涙が流れ出ました。ところが、あくる日、おそる/\新聞を見ますと、

「泣いてゐるお猫さん。一等」と大きな活字で書いてありました。お猫さんはとびあがる程よろこびました。そして写真屋さんへ行つて一円五十銭もらひました。

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