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TORENDIA

月謝の袋を失くしたあひるさん

本文約830字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

学校から帰宅したあひるさんは、先生から預かった月謝の袋を紛失し、叱られる不安から泣き崩れる。母親の慰めや牛乳の勧めにも応じず、袋が見つからない事実に嘆き悲しむあひるさんは、もし自分が袋屋さんなら世界中の子供に配れるのにと空想する。そんな折、家の前を通りかかった担任の烏先生が、袋は明日渡すから安心するようにと声をかける。安堵したあひるさんが、食事を終えて穏やかな眠りにつくまでを描く。

村山籌子

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🎧 月謝の袋を失くしたあひるさん / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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あひるさんは泣きながら学校から帰つて来て、お母さんに申しました。

「お母さん、先生から頂いた月謝の袋を落したの。先生に叱られるといや」

お母さんはおつしやいました。

「あひるさんや、カバンの中をしらべて見て、なかつたら、明日、先生によくお話しをなさい」

そしてお八つの牛乳を下さいました。けれどもあひるさんは一口も飲みません。

「あひるさんや、さあ、お飲みなさい。心配をしないで。とてもあたたかくて、うまい牛乳ですよ」と、お母さんは、あひるさんの口に牛乳の瓶をおしつけました。すると、あひるさんは、牛乳の瓶をはねとばしましたので、折角の牛乳が半分こぼれました。

そして、あひるさんはベツドの中へもぐり込んで、

「お母さん、今すぐ月謝の袋を見つけて下さい」と、わあ/\泣きわめきました。お母さんは家中をさがしましたが、月謝の袋は出て来ませんでした。

あひるさんはベツドの中で、涙でグツシヨリになつて、

「ああ、私が月謝の袋屋さんだつたら! 私はどんなに幸だつたらう。私はこんなに心配しないでもすんだのに。そして私は月謝の袋をなくして、心配で心配で泣いてゐる世界中の子供に、一枚づつ、ただで上げるのに!」と思ひました。けれども、あひるさんは月謝の袋屋さんではありません。ほんとにかあいさうなあひるさんです。

ところが、その晩は大変よいお月夜でした。学校の先生の烏さんは、散歩に出かけて、あひるさんの家の前を通りかかりました。

あひるさんのお母さんは先生に申しました。

「先生、うちのあひるさんは月謝の袋を落したといつて、泣いてばかりゐて、牛乳も飲みません」

烏先生は、ベツドの中へもぐつてしまつたあひるさんを、ベツドから引出して申しました。

「月謝の袋は明日あげますから、早く牛乳をお飲みなさい」

そこであひるさんは、やつと泣くのがとまつて、こんどはそれは/\うれしさうに、ニコ/\と牛乳を二本半と、御飯を四杯もたべて、ベツドの中へはいつて、明日の朝まで、グツスリと眠りました。安心して下さい。

完

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