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TORENDIA

紫外線

本文約10,900字 ・ 読了時間 約22分

あらすじ(AIが作成しました)

塚原俊夫は、犯罪捜査への応用を知り、叔父に依頼して実験室に水銀石英灯を備えつける。物質に紫外線を照射すると特有の光を放つ物理的性質を利用し、真贋鑑定や科学的調査の研究に没頭する。その後、銀座の宝石商を襲った盗賊事件の調査に関わる中、空き家で見つかった首飾りが模造品であることを突き止める。さらに俊夫は、水銀石英灯でしか読めない日記を解読し、医師による一連の犯罪計画と、巧妙に隠された事件の真相を明らかにしていく。

小酒井不木

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水銀石英灯

読者諸君は、塚原俊夫君の取り扱った「紅色ダイヤ」事件というのを記憶していてくださるだろうと思います。その事件を紹介する際、私は俊夫君に金持ちの叔父さんのあることを話しておきましたが、最近俊夫君はこの「赤坂の叔父さん」に実験室の一部を建て増してもらい、そこへ水銀石英灯というものを買ってもらって据えつけたのであります。

どうして、俊夫君が水銀石英灯を買ってもらったかと言いますと、先日俊夫君は、ある外国の犯罪学に関する雑誌を読んで、近頃外国では犯罪の探偵に水銀石英灯がさかんに使用されるということを知ったからであります。

そこで、研究好きな俊夫君は、赤坂の叔父さんに頼んだところ、さっそく叔父さんは快諾して実験室を建て増し、器械を買い入れて備えつけてくださったのであります。

かねて俊夫君はレントゲン線の装置がほしいのでしたけれど、あまりに大袈裟になるゆえ我慢していましたが、水銀石英灯は簡単なものですから、とうとう叔父さんにねだったわけです。

さてここで皆さんに水銀石英灯がどんなものかということをお話ししておこうと思います。水銀石英灯というのは一口にいえば、紫外線と称する一種の光線を発生する器械なのであります。そこで私はさらにさかのぼって、紫外線が何物であるかということを述べる必要があります。

皆さんは日光が通常七色の光線から成っていることをご存じであろうと思います。すなわち赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色がこれでありまして、日光光線を分光器で分析しますと、いわゆるスペクトルとなって、これらの美しい色にわかれます。しかし、日光光線には、この七色の光線の他になお眼に見えぬ二種の光線が含まれているのでありまして、通常赤外線、紫外線と呼ばれているのであります。

赤外線はスペクトルの赤色の外部に位するという意味であり、紫外線とは紫色の外部に位するという意味であります。

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