本文へ移動
TORENDIA

銀河鉄道の夜

本文約38,500字 ・ 読了時間 約78分

あらすじ(AIが作成しました)

貧しい少年ジョバンニが、親友カムパネルラと、銀河を走る列車で旅をする。星々の世界で出会う人々や出来事を通して、「ほんとうの幸い」とは何かを問いかける、賢治の代表作。

宮沢賢治

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 49

一、午后の授業

「ではみなさんは、さういふふうに川だと云はれたり、乳の流れたあとだと云はれたりしてゐたこのぼんやりと白いものがほんたうは何かご承知ですか。」先生は、黒板に吊した大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のやうなところを指しながら、みんなに問をかけました。

カムパネルラが手をあげました。それから四五人手をあげました。ジョバンニも手をあげやうとして、急いでそのまゝやめました。たしかにあれがみんな星だと、いつか雑誌で読んだのでしたが、このごろはジョバンニはまるで毎日教室でもねむく、本を読むひまも読む本もないので、なんだかどんなこともよくわからないといふ気持ちがするのでした。

ところが先生は早くもそれを見附けたのでした。

「ジョバンニさん。あなたはわかってゐるのでせう。」

ジョバンニは勢よく立ちあがりましたが、立って見るともうはっきりとそれを答へることができないのでした。ザネリが前の席からふりかへって、ジョバンニを見てくすっとわらひました。ジョバンニはもうどぎまぎしてまっ赤になってしまひました。先生がまた云ひました。

「大きな望遠鏡で銀河をよっく調べると銀河は大体何でせう。」

やっぱり星だとジョバンニは思ひましたがこんどもすぐに答へることができませんでした。

先生はしばらく困ったやうすでしたが、眼をカムパネルラの方へ向けて、「ではカムパネルラさん。」と名指しました。するとあんなに元気に手をあげたカムパネルラが、やはりもぢもぢ立ち上ったまゝやはり答へができませんでした。

先生は意外なやうにしばらくぢっとカムパネルラを見てゐましたが、急いで「では。よし。」と云ひながら、自分で星図を指しました。

「このぼんやりと白い銀河を大きないゝ望遠鏡で見ますと、もうたくさんの小さな星に見えるのです。ジョバンニさんさうでせう。」

宮沢賢治の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本