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TORENDIA

川越夜行記

本文約1,400字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

文明の進展による現代人の柔弱さを懸念した著者は、心身鍛錬を目的として東京巣鴨から埼玉県川越までの夜間遠足を企画する。百四人の有志を募り、厳しい寒さと疲労に耐えながら、月明かりの下で十三里の道のりを歩き通す様子を綴る。一行は休息を重ね、深夜の過酷な行軍の末に川越へ辿り着く。到着後は共に朝食を摂り、解散するまでの道中の出来事や、立ち寄った川越の歴史的背景と名所についてを収める。

大町桂月

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🎧 川越夜行記 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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裸男以爲へらく、『文明ます/\進みて、人はます/\柔弱になり行く。都會の少年、殊に然り。遠足も晝間では平凡也。夜間はちと苦しかるべし。そのちと苦しい目にあはせて、心身の鍛錬を圖るも、亦一の功徳ならずや』とて、檄を天下に飛ばして、有志の士を募り、北郊巣鴨驛に相會し、午後七時半を以て、程に上る。同勢すべて百四人也。夜光命も十口坊も、此頃は懷ろが少し温まると共に、身體も膨脹しだしたり。歩くにも、苦しさうなれば、遠慮して、わざと通知せざりしに、いつしか其れと知りて、來り會す。目ざすは埼玉縣の川越町、東京より十三里と稱す。薩摩芋の産地として有名なるが、『燒芋』とかけて何と解く。十三里と解く。心は栗(九里)より(四里)旨いとは、裸男少年の頃、大いに感服したる謎也。

下板橋より中仙道と別れ、左折して川越街道を行く。頃は十一月二十八日也。霜氣天地に滿つ。空晴れて、月明かなるが、向ひ風寒く且つ鋭くして、面痛く、體を進むるに勞多し。歩けば暖まれど、一寸休息すれば、忽ち寒戰す。夜光命、十口坊、裸男の外、四五人加はりて、幹部となり、一行に殿す。幹部と云へば立派に聞ゆれど、實は老廢の連中也。歩行緩慢にして、而も休息することしきり也。之に反して、新進氣鋭の士は、どし/\疾歩す。嗚呼人生老いたくは無きもの哉。

白子を過ぎて、膝折に至れば、牛山八一郎氏來り加はる。氏は膝折の人、その家、路傍に在り。一行の爲に湯茶を供し、火を焚いて暖を取らしむ。我等火にあたり、携へたる握飯を食らひて、ほつと一と息つく。我等の殿軍が到着したる時は、前軍既に休みあきて、進發しかけたる時なりき。殿軍は午後十二時となりて發足す。

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