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TORENDIA

鍋料理の話

本文約3,100字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

冬に家庭で食される鍋料理の調理法や材料の選び方、盛り付けの心得を綴る。新鮮な材料を用いる重要性や貝類の使用に関する見解を述べ、寄せ鍋としての楽しみを説く。また、一人で一貫した味を保つためのたれの調合や、材料の特性を考慮した煮る手順を指南する。単なる調理にとどまらず、盛り付けを自然の草花を生けるように工夫することで、日々の食事の中に芸術的かつ日常的な美を見出す必要性を論じる。

北大路魯山人

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🎧 鍋料理の話 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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冬、家庭で最も歓迎される料理は、なべ料理であろう。煮たて、焼きたてが食べられるからである。

なべ料理では、決して煮ざましを食べるということはない。クツクツと出来たての料理を食べることが、なによりの楽しみである。だから、なべ料理ほど新鮮さの感じられる料理はない。最初から最後まで、献立から煮て食べるところまで、ことごとく自分で工夫し、加減をしてやるのであるから、なにもかもが生きているというわけである。材料は生きている。料理する者は緊張している。そして、出来たてのものを食べるというのだから、そこにはすきがないのである。それだけになんということなく嬉しい。そして親しみのもてる料理といえよう。

しかし、材料が鮮魚、鮮菜という活物が入った上での話である。入れるものがくたびれていたのでは、充分のものはできない。これは、なべ料理にかぎらぬ話であるが、念のため申し添えておく。

家庭でやるなべ料理は、原料はこれとこれだけと、決っているわけではない。前の晩にもらった折詰ものだとか、買い置きの湯葉だとか、麩だとか、こんにゃくだとか、あるいは豆腐を使おうと、なんでも独創的に考案して、勝手にどんなふうにでもやれるのである。「なべ料理」のことを、東京では「寄せなべ」というが、上方では「楽しみなべ」ともいっている。なぜ「楽しみなべ」というかといえば、たいの頭があったり、蒲鉾があったり、鴨があったり、いろいろな材料がちらちら目について、大皿に盛られたありさまが、はなやかで、あれを食べよう、これを食べようと思いめぐらして楽しみだからである。

「楽しみなべ」という名称は、実によくあてはまっている。しかし、「寄せなべ」というのは、なんだか簡単すぎて感じのよい名前ではないと思う。「なべ料理」は先にもいった通り、材料がいろいろあるし、それを盛る盛り方にもなかなか工夫がいるのである。この点を注意しないで、ぞんざいに扱うと、いかにも屑物の寄せ集めみたいになってしまう。

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