教師と子供
本文約1,600字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
物覚えが悪く教師から厳しく叱責される一人のやさしい少年がいた。ある夏の暑い日、教師に罰として金だらいの水を持って屋外に立たされる。そこへ喉の渇いた一羽のつばめが現れ、少年と心を通わせる。少年が自分のような賢さがほしいと願うと、つばめは応え、少年は驚くべき変化を遂げる。生徒が急に賢くなったことに気を良くした教師は、より一層厳格に教え子たちを指導し始めるが、少年は秋が深まる中で再び教師の叱責を受ける日々を送る。
💰 この本を応援する(投げ銭)
それは不思議な話であります。
あるところに、よく生徒をしかる教師がありました。また、ひじょうに物覚えの悪い生徒がありました。教師はその子供をたいへん憎みました。
「こんなによく教えてやるのに、どうしてそれが覚えられないのか。」といって、教師は歯ぎしりをして怒りました。
けれど、その子供は、教えるあとから忘れてしまったのです。
「おまえみたいなばかは少ない。ほかの子供がこうして覚えるのに、それを忘れるというのは魂が腐っているからだ。おまえみたいな子供は、普通のことでは性根が直らない。」と、教師はいって、いろいろ頭の中で、その子供を苦しめる方法を考えました。いままで晩留めにしたり、立たせたり、むちでうったことは、たびたびあったけれど、なんの役にも立たなかったのであります。
夏の日のことで、家の外は焼きつくような熱さでありました。教師は、ふと窓の外を見ましたが、あることを頭の中に想いうかべました。
その物覚えの悪い子供に、金だらいに水を入れてそれを持たせて外に立たせることにしました。
「この水が熱くなるまで、こうしてじっと立っておれ。」と、教師はいいました。
子供は、教師の仕打ちをうらめしく思いました。そして、日の当たる地上に、金だらいを持って立ちながら考えました。
「ほんとうに自分はばかだ。ほかのものがみんな覚えるのに、なんで自分ばかりは覚えられないのだろう。」といって、涙ぐんでいました。その子供は、正直なやさしい子供であったのです。
学校の屋根に止まって、じっとこの有り様を見守っていたつばめがありました。つばめは、たいそうのどが渇いていました。つばめはよく、その子供がやさしい性質であるのを知っていました。
「どうしたんですか。みんなが教室に入っているのに、あなたばかりここに立っているのですか。私は、たいそうのどが渇いています。この水を飲ましてください。」と、つばめは飛んできて金だらいに止まっていいました。
子供は、いっそう悲しくなったのであります。