ひとをたのまず
本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
成績について話しながら神社の掃除に向かう、性格の異なる三人の子供たちの様子を綴る。掃除道具を手に神社の境内へ入った彼らだが、途中で一人が姿を消し、もう一人も彼を追いかけて立ち去ってしまう。一人残された少年が、誰の手も借りずに黙々と掃除を続ける姿を目の当たりにした語り手は、ひとの力を頼ろうとせず物事をやり遂げようとするその少年のけなげな態度に、すがすがしい思いを抱く様子を描く。
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ある日、私は偶然、前を歩いていく三人の子供を、観察することができました。
甲は背が高く、乙は色が黒く、丙はやせていました。そして、バケツを下げるもの、ほうきを持つもの、そのようすはどこかへそうじをしに、いくように見えました。
その日、彼らは、学校で、成績表をもらったのであろうか、
「君は、成績が、よかった?」と、乙が、甲に向かって、ききました。
甲は、すました態度で、なかなか、それに答えようとしませんでした。乙が、まず自分から、
「ぼくは、優が一つで、あとみんな良だったよ。」と、教えました。はじめて、甲は、
「ぼくは、ちょうど、その反対だった。」と、いいました。
「じゃあ、良一つしかなく、あとみんな優なのね。」と、乙は、その成績の、あまりいいのに、おどろいたようでした。
甲は、だまって、うなずきました。
「君は?」と、こんどは、乙が、丙に向かって、ききました。いままで、二人の話をききながら、歩いていた丙は、下を向いて、なんといわれても、だまっていました。
「いいだろう、教えても。」
そう、乙が、いったけれど、丙は、やはり下を向いていました。
* * * * *
三人は、神社の前へくると、境内へはいりました。あたりを見ると、そこの鳥居にも、かきねにも、こないだの、選挙のビラが、はりつけられてあり、また、方々にらくがきがしてありました。だから、それを、きれいにするためだと、すぐわかりました。
彼らは、石段のところで、ひとまず、手に持ったものをおいて、休みました。
「これを、みんなきれいにするのかなあ。」と、乙は、境内を見まわしました。
「なに、わけはないさ。」と、甲が、ほほえみました。こんなときでも丙は、だまっていました。
私は、とりすました甲にも、また、陰気に見える丙にも、どこか不自然なところがあるのを感じました。ひとり、色の黒い乙だけは正直で、明朗な気がしました。
とつぜん、丙が、石段を下りて、鳥居の外へ出ていきました。
「にげるんでない、ずるいや。」と、甲がおこりました。
「すぐ、帰ってくるのだろう。」と、乙がいいました。
「ぼく、よんでくるよ。」と、甲が立ちかけました。