本文へ移動
TORENDIA

ふるさと

本文約3,000字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

北の故郷を出た二羽の小鳥は、誓いを胸に山を越えて南の国へ向かう。そこには美しい花々や未知の音楽があふれていたが、人間にかごへ入れられ自由を失った同族に出会う。餌や水に不自由はなくても、自由に飛ぶ喜びがない暮らしを目の当たりにした二羽は、平和で自由に暮らせる故郷の尊さを悟る。美しく賑やかな場所への憧れを抱きながらも、二羽は本来の居場所である自然豊かな故郷へと引き返し、昔の生活を取り戻す。

小川未明

速度
🎧 ふるさと / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 4

北の故郷を出るときに、二羽の小鳥は、どこへいっても、けっして、ふたりは、はなればなれにならず、たがいに助け合おうと誓いました。すみなれた林や、山や、河や、野原を見捨て、知らぬ他国へ出ることは、これらの小鳥にとっても、冒険にちがいなかったからです。そして、ふたりは、春まだ早い、風の寒い日に高い山を越えました。

いつも、ほんのりとうす紅く、なつかしく見えた、山のかなたの国にきてみると、もはや、そこには、花が咲いていました。吹く風もあたたかく、いろいろの草は、すでに丘に、野原に、緑色に萌えていました。

「こんなに、いい国のあることを、なんで、いままで知らなかったのだろう。」と、ふたりは花の咲きにおっている木にとまったときに、顔を見合って語ったのです。

「なぜ、昔から、あの山を越すといけないといったのだろう。」と、一羽の小鳥が、ふるさとにいる時分に、年とった鳥たちの注意したことに、不思議を抱きました。

「それは、こういうわけなんだ、……もし、いいといったら、私たちはまだ遠い旅がされないのに、早く出かけるから、あの山のかなたは、怖ろしいところだ。あちらへいくと、もう、二度とここへは、帰られないといったにちがいない……。」と、ほかの一羽の小鳥は、いいました。

「ほんとうに、そうなのだ。いつも、みんなが、この国へきて、すめばいいのにな。」

ふたりは、年とった鳥たちが、あのさびしい野原や、風の寒い林の中を、いちばんいいと思っているのを笑いました。

それから、あちらの木かげ、こちらの林と、二羽の小鳥は、思い、思いに、飛びまわって、唄をうたっていました。こうするうちに、彼らはだんだんこの土地に慣れたのであります。

「もっと、あちらへいこうよ。」と、一羽が、いいました。

「あまり、人間のたくさんいるところへいくと、あぶなくないか?」

「人間の姿を見たら、すぐに逃げればいいのだ。」

小川未明の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本