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TORENDIA

うさぎと二人のおじいさん

本文約1,600字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

隣り合わせに住む二人の気むずかしいおじいさん。一人はうさぎを大切に飼い、もう一人は毎朝の大きなせきでうさぎを驚かせ、互いに不満を抱えていた。ある日、黒いうさぎがせきをするようになったことから、飼い主のおじいさんは隣人がせきをうつしたのだと周囲に吹聴する。噂を聞きつけた近所の人々や子供たちの間で騒ぎが広がり、せきをするおじいさんは知らぬ間に「うさぎにせきをうつした人物」として有名になっていく様を描く。

小川未明

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🎧 うさぎと二人のおじいさん / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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ふたりの気むずかしい、おじいさんが、隣り合わせに住んでいました。一人のおじいさんは、うさぎを飼っていました。白いのや、黒いのや、なかには、毛色の変わった珍しいのやらがおって、それを大事にして、我が子のように、めんどうを見てやっていましたが、隣のおじいさんが、毎朝、大きなせきをして、うさぎを驚かすので、そのたびに、眉をひそめて、口のうちで、小言をいっていたのです。

また、こちらのおじいさんは、隣の家では、ろくろく庭も広くないのに、うさぎなどを飼っているので、まだ暗いうちから、うさぎがけんかをして、キッ、キッ、といったりする、そのたびに目をさまさせられて、うるさいことに思っていました。

「こんな、狭い場所で、あんな生き物などを飼うばかがあるものか……。」と、せきをするおじいさんはいったのです。

おじいさんが、こういって、怒るのも無理はない。よく、うさぎが、垣根の下の方のすきまから、紅い目と、とがった唇を出して、こちらのおじいさんが、丹誠している草の芽や、盆栽の葉などを食べたからでした。

ある朝のこと、うさぎを大事にしているおじいさんは、いちばんかわいがっていた黒いうさぎが垣根のすきまから、隣の庭に植わっている、木の葉かなにかを食べているのを、だまって知らぬふりをして見ていました。このとき、ちょうどせきをするおじいさんが、やはり、こちらで、うさぎが自分の家の方へ顔を出しているのを見つけましたので、ひとつおびやかしてやろうと思って、足音をたてぬようにそばへ寄って、大きなせきをうさぎの頭の上でしたのでした。

うさぎは、びっくりして逃げ出しました。これを見たうさぎのおじいさんもやはり、びっくりしました。

この後のことです。黒いうさぎが、せきをするようになりました。うさぎを飼っているおじいさんは、これは、隣のおじいさんが、このあいだ、うさぎにせきをうつしたからだと思いました。うさぎが、あちらへ頭を出したのが悪いから、表向きに、どうこういうことはできなかったけれど、おじいさんは、このことでぷんぷん、怒っていました。

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