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TORENDIA

三国志

本文約155,400字 ・ 読了時間 約311分

あらすじ(AIが作成しました)

赤壁の戦いを控え、周瑜は甘寧ら先鋒隊に曹操軍への火攻めを命じる。一方、諸葛亮は帰還し、玄徳の陣営で部下たちに要地への伏兵を配置させる。戦いの後、呉へ連れ去られそうになった玄徳の幼子阿斗を、趙雲と張飛が奪還する。本書は、呉、魏、蜀の三国の軍師や武将たちが繰り広げる激しい攻防と、乱世における忠義のあり方を描く。

吉川英治

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降参船

一

「この大機会を逸してどうしましょうぞ」

という魯粛の諫めに励まされて、周瑜もにわかにふるい起ち、

「まず、甘寧を呼べ」と令し、営中の参謀部は、俄然、活気を呈した。

「甘寧にござりますが」

「おお、来たか」

「いよいよ敵へお蒐りになりますか」

「然り。――汝に命ずる」

周瑜は厳かに、軍令をさずけた。

「かねての計画に従って、まず、味方の内へまぎれこんでいる蔡仲、蔡和のふたりを囮とし、これを逆用して、敵の大勢をくつがえすこと。……その辺はぬかりなく心得ておろうな」

「心得ておりまする」

「汝はまず、その一名の蔡仲を案内者として、曹操に降参すと称え、船を敵の北岸へ寄せて、烏林へ上陸れ。そして蔡仲の旗をかざし、曹操が兵糧を貯えおく粮倉へ迫って、縦横無尽に火をつけろ。火の手の旺なるを見たら、同時に敵営へ迫って、側面から彼の陣地を攪乱せよ」

「承知しました。して残る一名の蔡和はいかがいたしますか」

「蔡和は、べつに使いみちがあるから残して行くがよい」

甘寧が退がって行くと、周瑜はつづいて、太史慈を呼び、

「貴下は、三千余騎をひっさげて、黄州の堺に進出し、合にある曹軍の勢に一撃を加え、まっしぐらに敵の本陣へかかり、火を放って焼き討ちせよ。――そして紅の旗を見るときは、わが主呉侯の旗下勢と知れかし」

第三番目に、呂蒙を呼んだ。

呂蒙に向っては、

「兵三千をひいて、烏林へ渡り、甘寧と一手になって、力戦を扶けろ」

と命じ、第四の凌統へは、

「夷陵の境にあって、烏林に火のかかるのを見たら、すぐ喚きかかれ」

と、それへも兵三千をあずけ、さらに、董襲へは、漢陽から漢川方面に行動させ、また潘璋へも同様三千人を与えて、漢川方面への突撃を命じた。

こうして、先鋒六隊は、白旗を目じるしとして、早くも打ち立った。――水軍の船手も、それぞれ活溌なうごきを見せていたが、かねてこの一挙に反間の計をほどこさんものと手に唾して待っていた黄蓋は、早速、曹操の方へ、人を派して、

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