あるまりの一生
本文約3,700字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
子供たちに乱暴に扱われ、傷つくことに耐えかねていたフットボールは、空の雲に誘われて地上から逃げ出す。空の上で平和な日々を送る中、地上の子供たちが自分を懐かしみ探していることを知り、まりは再び広場へ戻ることを決意する。元の生活に戻ったまりは、時を経て古び、跳ねる元気も失っていく。ある日、再び地上に降りてきた雲の呼びかけにも応えることができず、まりはそのまま静かに過ごす。
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フットボールは、あまり坊ちゃんや、お嬢さんたちが、乱暴に取り扱いなさるので、弱りきっていました。どうせ、踏んだり、蹴ったりされるものではありましたけれども、すこしは、自分の身になって考えてみてくれてもいいと思ったのであります。
しかし、ボールが思うようなことは、子供らに考えられるはずがありませんでした。彼らは、きゃっ、きゃっといって、思うぞんぶんにまりを踏んだり、蹴ったりして遊んでいました。まりは、石塊の上をころげたり、土の上を走ったりしました。そして、体じゅうに無数の傷ができていました。
どうかして、子供らの手から、のがれたいものだと思いましたけれども、それは、かなわない望みでありました。夜になると、体じゅうが痛んで、どうすることもできませんでした。まれに雨の降る日だけは、楽々とされたものの、そのかわり、すこし雨が晴れると、水たまりの中へ投げ込まれたり、また、体じゅうを泥で汚されてしまうのでした。雨の日が長くつづけば、つづくほど、その後では、いっそうみんなから、手ひどく取り扱われなければならないので、まりにとっては、雨の降る日さえが、その後のことを考えると、あまりうれしいものではなかったのです。
あるとき、フットボールは、みんなから、残酷なめにあわされるので、ほとんどいたたまらなくなりました。そして、いつも、いつも、こんなひどいめにあわされるなら、革が破れて、はやく、役にたたなくなってしまいたいとまで思いました。
こんなことを思っていましたとき、彼は、力まかせに蹴飛ばされました。そして、やぶの中へ飛び込んでしまいました。まりは、しげった木枝の蔭に隠れてしまったのです。
「まりが見つからないよ。」
「どこへいったろう?」
子供たちは、おおぜいでやぶの中へはいってきて、まりを探しました。しかし、だれも、ボールがちょっとした、木枝の蔭に隠れていようとは、気づかなかったのであります。
「ここんとこではない。ほかのところかもしれないよ。」
子供らは、ほかの方面へいって探しはじめました。そして、見つからないので、みんなはがっかりとしてしまって、いつしか、どこへかいってしまいました。