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TORENDIA

ある夜の星たちの話

本文約4,200字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

真冬の澄み切った夜空で、普段は言葉を交わさない星たちが下界の様子を語り合う。やさしい星は、貧しい家庭で懸命に生きる子供たちの姿や、休まず働く汽車、そしてどちらの汽笛が早いかと競い合う工場の煙突の様子を他の星々に伝える。やがて夜が明け、太陽が昇り始めると、星たちは姿を消し、地上の人々は霜の降りる寒さの中、それぞれの朝の営みを始める。

小川未明

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🎧 ある夜の星たちの話 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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それは、寒い、寒い冬の夜のことでありました。空は、青々として、研がれた鏡のように澄んでいました。一片の雲すらなく、風も、寒さのために傷んで、すすり泣きするような細い声をたてて吹いている、秋のことでありました。

はるか、遠い、遠い、星の世界から、下の方の地球を見ますと、真っ白に霜に包まれていました。

いつも、ぐるぐるとまわっている水車場の車は止まっていました。また、いつもさらさらといって流れている小川の水も、止まって動きませんでした。みんな寒さのために凍ってしまったのです。そして、田の面には、氷が張っていました。

「地球の上は、しんとしていて、寒そうに見えるな。」と、このとき、星の一つがいいました。

平常は、大空にちらばっている星たちは、めったに話をすることはありません。なんでも、こんなような、寒い冬の晩で、雲もなく、風もあまり吹かないときでなければ、彼らは言葉を交わし合わないのであります。

なんでも、しんとした、澄みわたった夜が、星たちには、いちばん好きなのです。星たちは、騒がしいことは好みませんでした。なぜというに、星の声は、それはそれはかすかなものであったからであります。ちょうど真夜中の一時から、二時ごろにかけてでありました。夜の中でも、いちばんしんとした、寒い刻限でありました。

「いまごろは、だれも、この寒さに、起きているものはなかろう。木立も、眠っていれば、山にすんでいる獣は、穴にはいって眠っているであろうし、水の中にすんでいる魚は、なにかの物蔭にすくんで、じっとしているにちがいない。生きているものは、みんな休んでいるのであろう。」と、一つの星がいいました。

このとき、これに対して、あちらに輝いている小さな星がいいました。この星は、終夜、下の世界を見守っている、やさしい星でありました。

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