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TORENDIA

妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)

本文約3,800字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

野依秀一と中村孤月という二人の人物に対する印象を綴る。前者は、善人でありながら無邪気で浅慮な虚勢を張る性格として描かれ、対する後者は、気味の悪い眼差しや無作法な振る舞いに反感を抱きつつも、徐々に変化していく様子を観察する。著者は、自身の直接的な印象に基づき、彼らの言動や性質に対する複雑な感情と思索を率直に記す。二人の人物を通し、自己の価値観や相手との関わり方を対照的に浮き彫りにする記録である。

伊藤野枝

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🎧 妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録) / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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野依秀一氏

この人は、思つたよりも底の浅い人です。正直で小胆な処があります。子供らしい可愛さがあります。此人は何時でも予想外な突飛さで人をおどかして、その隙に飛び込んで来やうとする人のやうに思はれます。殊にその突飛さが非常に不自然なと云ふ範囲を何処までも出ないので、少し落ちついてあしらつてゐますと、馬鹿気きつた空々しい処があります。

思つたことを遠慮なく云ふことは気持のいゝ事です。野依さんは真実さう云ふ気持のいゝ処がありますが、ともするともう一歩進んでそれを殊更に衒ふやうな傾きがあつて馬鹿々々しくなつて来る事があります。併し野依さんが自分ひとりいゝ気になつて、とんでもないことを、喋舌つてお出になつても少しも反感が起つて来ないのは不思議です。けれどもそれは或は反感を起す程度にも相手を引き立てゝ考へないからかもしれません。非常に可愛らしい処のある気持のいゝ人ですが気の毒な事には、その唯一のおどかしは凡ての人に役立つ丈けの深味も強みも持つてゐません。随分世間には氏を悪党のやうに云つてゐる人もあるけれども決して悪党でも何でもないと思ひます。悪党処か善人なのだと思ひます。善人が頻りに虚勢を張つてゐると云つた格です。

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