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TORENDIA

『雪華図説』の研究後日譚

本文約7,000字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

『雪華図説』の研究後日譚は、雪の結晶研究で知られる『雪華図説』の著者土井利位の家老、鷹見泉石の人物像とその業績を綴る。蘭学者でもあった泉石は、北辺防備や大塩平八郎召捕事件で活躍し、主君を支えながら開国を論じるなど多岐にわたる功績を残した。著者は関係者への取材を通じて、当時の学問的背景や泉石の克明な記録を辿り、江戸時代の科学文化の一端を明らかにしながら、優れた研究が生まれた歴史的必然性を考察する。

中谷宇吉郎

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🎧 『雪華図説』の研究後日譚 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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前掲の『雪華図説』の研究というのは、ほんの思いつきのようなつもりで『画説』に書いたのであるが、脇本楽之軒氏が大変興味をもたれて、この後日譚を書く材料を集めるのに色々世話をして下さった。

ことの起りは、脇本さんがかねて藤懸静也教授に会われた際、同教授が『雪華図説』の著者土井利位の家老であった鷹見泉石の裔と姻戚の間に在ることをきかれていたのに始まった。そして泉石の遺した書籍、手稿、遺品などが、只今藤懸教授の手許に保管されていること、『雪華図説』の間違いのない原本が一冊遺っていることなどを知らせて貰えたのである。

前にも言ったように、この『雪華図説』は当時の欧米の学者たちの雪の結晶の研究とくらべて、なんら遜色のない立派な研究なのであって、江戸時代の日本の科学が遺した業績の中でも特筆すべきものなのである。ところでこういう立派な仕事が、当時の日本の武蔵野の一隅に忽焉として現われるはずはないので、何かこの書が出るには、それだけのものを産むべき学問の流れがあったにちがいないということは誰にも考えられる。

『雪華図説』の出た頃は、蘭学が既に我が国で隆盛の期に達していた。それで土井利位の仕事も、蘭学の系統に属していたにはちがいないので、当時既にかなりすぐれた蘭学者であったところの泉石の助力がよほどあずかって力あったものと考えられるのである。東京科学博物館刊行の『江戸時代の科学』には、『雪華図説』の著者として、土井利位の代りに鷹見泉石の名が挙げられているくらいで、あるいはこの研究は主として泉石によって為され、刊行の際にその殿様であった土井利位の名を冠したものではないかと疑われるくらいである。『江戸時代の科学』に著者として泉石の名を挙げた理由は、其の後鷹見家の後裔、鷹見久太郎氏に会って尋ねたが分らなかった。詳しいことは後述の通りである。

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