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町はずれの森の中に、かわいいモミの木が一本、立っていました。そこはとてもすてきな場所で、お日さまもよくあたり、空気もじゅうぶんにありました。まわりには、もっと大きな仲間の、モミの木やマツの木が、たくさん立っていました。

けれども、小さなモミの木は、ただもう、大きくなりたい、大きくなりたいと思って、じりじりしていました。そんなわけで、暖かなお日さまのことや、すがすがしい空気のことなんか、考えてもみなかったのです。農家の子供たちが、野イチゴやキイチゴをつみにきて、そのへんを歩きまわっては、おしゃべりをしても、そんなことは気にもとめませんでした。子供たちは、イチゴをかごにいっぱいつんだり、野イチゴをわらにさしたりすると、よく、小さなモミの木のそばにすわって、言いました。

「ねえ、なんてちっちゃくて、かわいいんだろう!」

ところが、モミの木にしてみれば、そんなことは聞きたくもなかったのです。

つぎの年になると、モミの木は、長い芽だけ、一つ大きくなりました。またそのつぎの年になると、もっと長い芽だけ、また一つ大きくなりました。モミの木からは、毎年毎年新しい芽がでて、のびていきますから、その節の数をかぞえれば、その木が幾つになったかわかるのです。

「ああ、ぼくも、ほかの木とおんなじように、大きかったらなあ!」と、小さなモミの木はため息をつきました。「そうだったら、ぼくは、枝をうんとまわりにひろげて、てっぺんから広い世界をながめることができるんだ! 鳥も、ぼくの枝のあいだに巣をつくるだろうなあ! 風が吹いてくりゃ、ぼくだって、ほかの木とおんなじように、じょうひんにうなずくこともできるんだがなあ!」

明るいお日さまの光も、鳥も、頭の上を朝に晩に流れてゆく赤い雲も、モミの木の心を、すこしもよろこばせてはくれませんでした。

そのうちに、冬になりました。あたりいちめんに、キラキラかがやくまっ白な雪が降りつもりました。すると、ウサギが何度もとび出してきて、この小さな木の上をとびこえて行きました。――ああ、まったくいやになっちまう!――

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