幸福な一家
本文約4,300字 ・ 読了時間 約9分
あらすじ(AIが作成しました)
スカンポの森で暮らす二ひきの年老いたカタツムリは、自分たちが世界の主人であり、いつか銀のお皿で料理される運命にあると信じている。二ひきは、自分たちが育てた息子のために、スグリの茂みに住むカタツムリの娘を花嫁として迎え入れ、森のすべてを譲り渡す。老夫婦が眠りについた後、若い夫婦は子供たちと共に森を治め、お屋敷が崩壊して人間が消えたと信じながら、自然の中で幸福な生活を続ける様子を描く。
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この国でいちばん大きな青い葉といえば、それは、スカンポの葉にちがいありません。その葉を取って、子供がおなかの上につければ、ちょうど前掛けのようになります。それから、頭の上にのせると、雨が降っているときには、雨がさのかわりになります。この葉は、なにしろ、ものすごく大きいのですから。
スカンポというのは、一本だけで生えているということはありません。一本生えているところには、きまって、幾つも幾つも生えているものです。そのありさまは、たいへんきれいです。そして、この美しい葉は、カタツムリの大好きな食べ物なのです。むかし、身分の高い人たちが、よいお料理につかった、大きな白いカタツムリは、スカンポの葉を食べて、「フン、こいつはうまいぞ」と、言ったものでした。なぜって、カタツムリは、ほんとうにおいしいと思ったからです。カタツムリは、スカンポの葉を食べて生きていました。ですから、スカンポの種が、畑にまかれたのです。
さて、古いお屋敷がありました。お屋敷の人たちは、もう、カタツムリを食べなくなっていました。カタツムリは、すっかり死にたえてしまったのです。ところが、スカンポのほうは、死にたえるどころか、ふえにふえて、道という道、花壇という花壇にまで、ひろがっていました。もう、どうしようもありません。まるで、スカンポの森のようなありさまです。ただ、あっちこっちに、リンゴの木とスモモの木が立っているだけでした。その木でもなかったなら、ここが庭だったと思うことは、とてもできなかったでしょう。まったく、どこもかしこもスカンポばかりなのです。――
そこに、ずいぶん年をとったカタツムリが、二ひきだけ生きのこって、住んでいました。