いたずらっ子
本文約2,600字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
あらしの夜、やさしい老詩人が家で温まっていると、びしょぬれになった小さな男の子が助けを求めてくる。詩人はその子を迎え入れ、手厚くもてなす。元気を取り戻した少年は、自らをキューピッドと名乗り、詩人に隠し持っていた弓で矢を放つ。こうして恩人を射ぬき、去っていった少年は、その後も姿を変えて人々に近づき、絶えずいたずらを繰り返していく。そんなずる賢いキューピッドの正体と、人々の心に矢を射るその様子を描く。
💰 この本を応援する(投げ銭)
むかしむかし、ひとりのおじいさんの詩人がいました。とてもやさしいおじいさんの詩人でした。
ある晩、おじいさんが、家の中にすわっていたときのことでした。表は、すさまじいあらしになりました。雨が、たきのように降ってきましたが、おじいさんの詩人は、部屋の中のだんろのそばで、気持よく暖まっていました。だんろでは、火が赤々と、燃えていました。リンゴが、ジュージュー、おいしそうに焼けていました。
「こんなあらしのとき、外にいるものはかわいそうだなあ。着物も、びしょぬれになってしまうだろうに」と、おじいさんの詩人は言いました。こんなに、心のやさしい人だったのです。
すると、そのときです。戸の外から、
「あけてください。ぼく、びしょぬれで、寒くてたまんないの!」とさけぶ、小さな子供の声が聞えました。子供は、泣きながら、戸をドンドンたたいています。そのあいだも、雨はザーザー降り、窓という窓は、風のためにガタガタ鳴っています。
「おお、かわいそうに!」と、おじいさんの詩人は言って、戸をあけに行きました。
表には、小さな男の子が立っています。見れば、まっぱだかで、雨水が長い金髪から、ぽたぽたと、したたり落ちているではありませんか。おまけに、寒くて、ぶるぶるふるえているのです。もしも家の中へ入れてやらなければ、こんなひどいあらしの中では、死んでしまうにちがいありません。
「おお、かわいそうに!」と、おじいさんの詩人は言って、男の子の手をとりました。「さあ、さあ、中へおいで。暖かくしてあげるよ。ブドウ酒と焼きリンゴもあげような。おまえは、かわいい子だからねえ」