雪の女王
本文約39,300字 ・ 読了時間 約79分
あらすじ(AIが作成しました)
悪魔が作った鏡が砕け散り、その破片が目や心に入った少年カイは、冷酷な心へと変貌し姿を消す。幼馴染の少女ゲルダは、彼を連れ戻すために旅に出る。多くの困難を経てカイと再会を果たしたゲルダは、共に生まれ育った町へ帰り、いつの間にか大人になっていた二人は再会した場所で思い出の歌を分かち合う。本作は、鏡の破片による不幸な出来事と、ゲルダの献身的な愛による救済の物語を描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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さいしょのお話
鏡と、鏡のかけらのこと
さあ、いいですか、お話をはじめますよ。このお話をおしまいまで聞けば、わたしたちは、いまよりも、もっといろいろなことを知ることになります。それは、こういうわけなのですよ。
あるところに、ひとりのわるいこびとの妖魔がいました。それは妖魔の中でも、いちばんわるいほうのひとりでした。つまり、「悪魔」です。ある日のこと、悪魔は、たいそういいごきげんになっていました。というのは、この悪魔は、まことにふしぎな力をもつ、一枚の鏡をつくったからでした。つまり、その鏡に、よいものや、美しいものがうつると、たちまち、それが小さくなり、ほとんどなんにも見えなくなってしまうのです。ところが、その反対に、役に立たないものとか、みにくいものなどは、はっきりと大きくうつって、しかもそれが、いっそうひどくなるというわけです。たとえようもないほど美しい景色でも、この鏡にうつったがさいご、まるで、煮つめたホウレンソウみたいになってしまうのです。どんなによい人間でも、みにくく見えてしまいます。さもなければ、胴がなくなって、さかさまにうつってしまうのです。顔は、すっかりゆがめられてしまって、見わけることさえできません。そのかわり、そばかすが一つあっても、それが、鼻や口の上までひろがって、はっきりと見えてくるしまつです。
「こいつは、とてつもなくおもしろいや」と、悪魔は言いました。たとえばですよ、なにか信心深い、よい考えが、人の心の中に起ってきたとしますね、すると、鏡の中には、しかめっつらがあらわれてくるのです。こびとの悪魔は、自分のすばらしい発明に、思わず、吹き出してしまいました。悪魔は、妖魔学校の校長をしていましたが、この学校にかよっている生徒たちは、みんな、奇蹟が起った、と、言いふらしました。そして、いまこそはじめて、世の中と、人間のほんとうの姿が見られるのだ、と、口々に言いました。