「ぼくのからだの中で、ミシミシ音がするぞ。まったく、すばらしく寒いや!」と、雪だるまが言いました。「風がピューピュー吹きつけて、まるで命を吹きこんでくれようとしているようだ。だが、あの光ってるやつは、いったい、どこへ行くんだろう? あんなにギラギラにらんでいるぞ!」雪だるまが、そう言っているのは、お日さまのことでした。お日さまは、いまちょうど、しずもうとするところだったのです。「あんなやつが、いくらまばたきさせようったってまばたきなんかするもんか。まだまだこのかけらが、しっかりと目にくっついているんだからな」
雪だるまの目になっているのは、大きな三角の形をした、二枚の屋根がわらのかけらだったのです。口は、古い、こわれた草かきでできていました。ですから、雪だるまには、歯もあったわけです。
この雪だるまは、男の子たちが、うれしそうに、ばんざい、とさけんだのといっしょに、生れてきたのでした。そしてそのとき、そりの鈴の音や、むちの音が、ちょうど挨拶でもするように、雪だるまをむかえてくれました。
お日さまがしずみました。すると、青い空に、まんまるい大きなお月さまが、明るく、美しくのぼりました。
「今度はまた、あんなちがったほうから出てきたぞ」と、雪だるまが言いました。雪だるまは、また出てきたのが、お日さまだと思ったのでした。「でも、いいや。あいつが、ぼくをギラギラにらむのだけは、やめさしてやったぞ。ああして、あんな高いとこにぶらさがって、光ってるんなら光っているがいい。おかげで、ぼくは、自分のからだがよく見えるというもんだ。
さてと、どうしたら、からだを動かすことができるんだろうなあ。それさえわかったらなあ! ああ、なんとかして動いてみたい! もし動くことができたら、ぼくもあの男の子たちのやってたみたいに、氷の上をすべって行くんだけどなあ! だけど、どうして走ったらいいのか、わかりゃしないや」