ほんとにそのとおり!
本文約2,900字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
町外れのトリ小屋で一羽のメンドリが自分の羽を一本手入れしたことが、ささいな噂となって広がる。噂は聞くたびに尾ひれがつき、メンドリは次第に仲間を死に追いやる醜聞へと形を変え、最後には新聞にまで掲載される事態となる。小さな羽一本から始まった些細な出来事が、周囲の推測や誇張によって全く別の大きな物語へと変貌していく過程を描き、情報の伝播と変質をユーモラスに指摘する。
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「おそろしい話なのよ!」と、一羽のメンドリが言いました。
そこは、町のはずれで、このお話のできごとのあったところとは、なんの関係もない場所でした。
「むこうの、トリ小屋で起った、おそろしい話なのよ。あたし、今夜は、とっても、ひとりでなんか、眠れそうもないわ。でも、あたしたちは、こうやってみんないっしょに、とまり木の上にかたまっているからいいけれど」
それから、メンドリは話しはじめました。すると、ほかのメンドリたちは、毛をさかだて、オンドリたちは、とさかを、だらりとたれました。ほんとにそのとおり!
それでは、はじめから、ちゃんと、お話しすることにしましょう。さて、その出来事のはじまりというのは、町のむこうはずれの、トリ小屋の中で起ったことなのです。
お日さまがしずむと、ニワトリたちは、とまり木に飛びあがりました。その中に一羽、まっ白な羽をした、足の短いメンドリがいました。卵もきちんきちんと、よく生みますし、メンドリとしては、どこからみても申し分のない、りっぱなメンドリでした。このメンドリが、とまり木に飛びあがろうとしながら、自分の羽をくちばしでつついたのです。すると、そのひょうしに、小さな羽が一枚、ぬけおちました。
「あら、羽が一枚ぬけたわ」と、そのメンドリは言いました。「でも、いいわ。あたしは、羽をつつけばつつくほど、きれいになっていくんですもの」
もちろん、これは、じょうだんに言ったことなのです。なぜって、このメンドリは、仲間の中でも、ほがらかなたちだったんですから。それに、さっきもお話ししたとおり、たいへんりっぱなメンドリだったのです。それから、このメンドリは眠ってしまいました。
あたりは、まっ暗でした。メンドリたちは、からだをすりよせて眠っていました。ところが、そのメンドリのおとなりにいたメンドリだけは、まだ眠っていませんでした。このメンドリは、聞いても聞かないようなふりをしていました。だれでも、この世の中を無事に、のんきに、暮していこうと思えば、そんなふりをしなければならないものですがね。けれども、別のおとなりさんに、つい、こう言ってしまいました。