1 / 4

「おそろしい話なのよ!」と、一羽のメンドリが言いました。

そこは、町のはずれで、このお話のできごとのあったところとは、なんの関係もない場所でした。

「むこうの、トリ小屋で起った、おそろしい話なのよ。あたし、今夜は、とっても、ひとりでなんか、眠れそうもないわ。でも、あたしたちは、こうやってみんないっしょに、とまり木の上にかたまっているからいいけれど」

それから、メンドリは話しはじめました。すると、ほかのメンドリたちは、毛をさかだて、オンドリたちは、とさかを、だらりとたれました。ほんとにそのとおり!

それでは、はじめから、ちゃんと、お話しすることにしましょう。さて、その出来事のはじまりというのは、町のむこうはずれの、トリ小屋の中で起ったことなのです。

お日さまがしずむと、ニワトリたちは、とまり木に飛びあがりました。その中に一羽、まっ白な羽をした、足の短いメンドリがいました。卵もきちんきちんと、よく生みますし、メンドリとしては、どこからみても申し分のない、りっぱなメンドリでした。このメンドリが、とまり木に飛びあがろうとしながら、自分の羽をくちばしでつついたのです。すると、そのひょうしに、小さな羽が一枚、ぬけおちました。

「あら、羽が一枚ぬけたわ」と、そのメンドリは言いました。「でも、いいわ。あたしは、羽をつつけばつつくほど、きれいになっていくんですもの」

もちろん、これは、じょうだんに言ったことなのです。なぜって、このメンドリは、仲間の中でも、ほがらかなたちだったんですから。それに、さっきもお話ししたとおり、たいへんりっぱなメンドリだったのです。それから、このメンドリは眠ってしまいました。

あたりは、まっ暗でした。メンドリたちは、からだをすりよせて眠っていました。ところが、そのメンドリのおとなりにいたメンドリだけは、まだ眠っていませんでした。このメンドリは、聞いても聞かないようなふりをしていました。だれでも、この世の中を無事に、のんきに、暮していこうと思えば、そんなふりをしなければならないものですがね。けれども、別のおとなりさんに、つい、こう言ってしまいました。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersenの他の作品

アンネ・リスベット
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
いいなずけ
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
家じゅうの人たちの言ったこと
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
いたずらっ子
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
アヒルの庭で
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
かけっこ
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
イーダちゃんのお花
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
絵のない絵本
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
コウノトリ
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
お墓の中の坊や
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
カラー
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
幸福な一家
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen