はだかの王さま
本文約5,300字 ・ 読了時間 約11分
あらすじ(AIが作成しました)
新しい着物が何よりも好きな皇帝のもとに、役目にふさわしくない者には見えないという不思議な布を織ると語る二人の嘘つきが現れる。皇帝と家来たちは、実際には何も存在しない布を、自分が無能だと思われないために見えているふりをして称賛し続ける。やがて皇帝はその見えない布を身にまとっていると思い込み、行列に参加して町中を練り歩くが、沿道にいた一人の子供が真実を口にしたことで事態は思わぬ方向に動き出す。
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いまからずっとずっとむかしのこと、ひとりの皇帝がいました。皇帝は、あたらしい、きれいな着物がなによりも好きでした。持っているお金をのこらず着物に使って、いつもいつも、きれいに着かざっていました。皇帝は、自分のあたらしい着物を人に見せたいと思うときのほかは、兵隊のことも、芝居のことも、森へ遠乗りすることも、なにからなにまで、きれいさっぱり忘れているのでした。
とにかく、皇帝は、一日のうち一時間ごとに、ちがった着物に着かえるのです。ですから、よその国ならば、王さまは、会議に出ていらっしゃいます、というところを、この国ではいつも、「皇帝は、衣装部屋にいらっしゃいます」と、言いました。――
皇帝の住んでいる大きな町は、たいへんにぎやかなところでした。毎日毎日、よその国の人たちが大ぜい来ました。
ある日のこと、ふたりのうそつきがやってきました。ふたりは、
「わたしどもは、機織りでして、みなさんの思いもおよばない、美しい織物を織ることができます。それに、その織物は色とがらとが、びっくりするほど美しいばかりではございません。その織物でこしらえた着物は、まことにふしぎな性質をもっておりまして、自分の役目にふさわしくない人や、どうにも手のつけられないようなばかものには、この着物は見えないのでございます」と、言いふらしました。
「ふうん、それはまた、おもしろい着物だな」と、皇帝は考えました。「そのような着物を着れば、この国のどの役人が役目にふさわしくないか、知ることができるわけじゃな。それから、りこうものと、ばかものを見わけることもできるわけだ。そうだ、さっそく、その織物を織らせるとしよう」
そこで、ふたりのうそつきにたっぷりお金をやって、仕事にかかるように言いつけました。
ふたりは、機を二台すえつけて、いかにも働いているようなふりをしました。けれども、ほんとうは、機の上には、なんにもなかったのです。ふたりは、すぐに、
「いちばん上等の絹と、いちばんりっぱな金をください」と、願い出ました。