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はじめに ― ほっとする時間に、少しだけ気をつけたいこと
寒い日の夜、あたたかいお湯にゆっくりつかる。冬のいちばんの楽しみだという人も多いでしょう。
この本は、そのお風呂を、これからも安心して楽しむための本です。
じつは、冬の入浴中には、とくに高齢の方を中心に、事故が増えることが知られています。国の機関が、毎年のように注意をよびかけています。
この本では、その数字と、起きやすい理由と、お金をかけずにできる備えを、順番にお話しします。あわせて、お風呂の事故と深く関わる、家の中の寒さと温度差についても考えます。
先に、お伝えしておきたいことがあります。
お風呂は、こわいものではありません。毎日たくさんの人が、何事もなく入っています。
また、この本は、医師や専門家の立場から、診断や治療のお話をするものではありません。体の状態には、個人差があります。持病のある方や、薬を飲んでいる方は、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。
この本に出てくる数字は、消費者庁、厚生労働省、国土交通省が公表している資料にもとづいています。数字には、そのつど、何年のものかを添えます。
また、特定の商品や会社は、おすすめしません。身の回りにあるものと、ふだんの暮らしの工夫だけで、できることを集めました。
全体の流れは、つぎのとおりです。
まず、数字で、入浴中の事故がどのくらいあるのかを見ます。
つぎに、なぜ冬に増えるのかという、理由を整理します。
そのあと、お風呂に入る前、入っているとき、出るときの、それぞれのコツをお話しします。
後半では、家全体の寒さに目を向けます。部屋と部屋の温度の差や、室温と体の関係を、調査の結果をもとに見ていきます。
最後は、家族でできる工夫と、今週すぐに始められることです。
では、はじめましょう。
第一章 数字で見る、入浴中の事故
いつ、どこで起きているのか
消費者庁は、冬の入浴中の事故について、くり返し注意をよびかけています。
その資料によると、おぼれて亡くなる高齢者の数は高い水準が続いていて、近年は、交通事故で亡くなる人の数を上回っています。
事故が起きる場所は、自宅や高齢者向けの施設の、浴槽が中心です。