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はじめに 眠りは「余った時間」ではない
忙しい毎日の中で、眠る時間は、いちばん先に削られがちです。
仕事が終わらない。家のことが残っている。見たい動画がある。
そうやって一日を使い切ったあとの、残りの時間で眠る。そんな暮らしをしている人は、少なくないと思います。
けれども、眠りは、余った時間ではありません。
眠っている間に、体と頭は、一日の疲れを回復させています。子どもなら、体や脳を育てる時間でもあります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、こうした眠りの役割を、とても大切なものとして位置づけています。
では、日本の睡眠は、いまどんな様子なのでしょうか。
2021年に、OECD、経済協力開発機構が行った調査があります。この調査で、日本人の平均睡眠時間は、対象になった33か国の中で、もっとも短いとされました。厚生労働省の広報誌、2025年3月号の睡眠特集が、このことを紹介しています。
また、2019年の国民健康・栄養調査では、働く世代の20歳から59歳に注目しています。どの世代でも、睡眠が6時間に届かない人が、およそ35パーセントから50パーセントを占めていました。5時間にも届かない人に絞っても、約5パーセントから12パーセントいたと、睡眠ガイドは伝えています。
さらに、眠って休めたと感じている人の割合は、近年、20歳以上でおよそ7割にとどまり、年々減る傾向にあるそうです。
この数字を見て、不安になる必要はありません。
ただ、日本では、眠りが足りていない人が、思ったより多いようだ。そのことを、最初に知っておいてほしいのです。
この本は、眠りの「教科書」を名乗っていますが、むずかしいことは書きません。
何時間眠ればいいのか。眠りの質は、何で見ればいいのか。昼と夜に、どんな工夫ができるのか。眠れない夜は、どう過ごせばいいのか。
そうした疑問に、公的な資料をもとに、短い言葉で答えていきます。
先に、お断りしておきます。
この本は、病気の診断や治療をするものではありません。薬や、商品や、サービスをすすめる本でもありません。