本文へ移動
TORENDIA

財布のなかの小銭の歴史 ― 円・銭・厘から、五百円玉まで

本文約9,100字 ・ 読了時間 約19分

白石 凪

速度
🎧 財布のなかの小銭の歴史 ― 円・銭・厘から、五百円玉まで / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 11

第一章 56億枚の始まり

昭和49年。

日本の造幣局は、1年で、およそ56億1千万枚の硬貨をつくりました。

過去最高の数字だと、造幣局の年表は書いています。

ところで、その硬貨の単位、円という名前は、どこから来たのでしょうか。

実は、その由来は、はっきりしていません。

円が生まれたのは、明治4年、西暦1871年です。

円の100分の1が銭。そのまた10分の1が、厘でした。

いま、財布のなかに小銭があれば、1枚、手に取ってみてください。

その1枚には、150年あまりの歴史が、つながっています。

150年あまりという数字は、筆者の計算です。

最初に、使った資料をお伝えします。

造幣局のページが二つ。国立印刷局のお札の歴史のページが三つ。

そして、日本銀行と、貨幣博物館のページです。

年や数字は、これらに書かれているものだけを使います。

この本は、お金の歴史の本です。

お金の使い方や、貯め方、いまの価値への換算は、扱いません。

物価や、景気の話も、しません。

硬貨とお札が、いつ、どのように生まれ、変わってきたのか。

その事実だけを、順番にたどります。

では、始まりの明治の初めへ、行ってみましょう。

第二章 明治4年、円が生まれる

新貨条例の前の、日本のお金は、どうだったのでしょうか。

貨幣博物館のページによれば、江戸時代には、金、銀、銭の、三つのお金が使われていました。

三貨制度と呼ばれます。

金は、1両が4分、16朱。

銭は、1貫文が1000文でした。

4と16の世界から、100と10の世界へ。

新貨条例は、そうした大きな切り替えでした。

この整理は、二つの資料を並べた、筆者のものです。

さかのぼれば、もっと古い貨幣もあります。

貨幣博物館のページによれば、日本で最初の貨幣は、和同開珎とされてきました。

けれども、それより前につくられた、富本銭があったことが、わかってきた、とも書かれています。

10世紀の終わりから16世紀までは、国による貨幣の鋳造がなく、中国から来た銭が、広く流通していました。

日本のお金の歴史は、とても長いものなのです。

ここからは、明治の前の年、慶応4年、西暦1868年にさかのぼります。

白石 凪の他の作品