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給食はおにぎりから始まった ― 明治22年の寺の昼ごはんから、いまの給食まで

本文約11,400字 ・ 読了時間 約23分

白石 凪

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🎧 給食はおにぎりから始まった ― 明治22年の寺の昼ごはんから、いまの給食まで / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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はじめに ― 毎日あることが、当たり前の昼ごはん

給食は、学校で毎日出される昼ごはんです。

同じ時間に、同じ献立を、みんなで食べます。

多くの人にとって、これは当たり前の風景でしょう。

けれども、この当たり前には、長い歴史があります。

給食は、最初から全国の学校にあったわけではありません。

今のような形になるまでには、百三十年あまりの時間がかかっています。

その間には、貧しさ、不況、戦争、そして食べ物の足りない時代がありました。

給食は、そのたびに形を変えながら、続いてきたのです。

この本では、給食の歩みを、始まりから順にたどります。

出発点は、明治22年、山形県の鶴岡にあったお寺です。

そこで出されたのは、おにぎりと、塩ザケと、菜の漬物でした。

とてもささやかな昼ごはんです。

この小さな昼ごはんが、どうやって全国の学校に広がったのか。

パンやミルクや、ごはんは、いつ、どんな理由で加わったのか。

お皿やスプーンは、どう変わったのか。

順番に見ていきます。

使った資料についても、先にお伝えします。

中心になるのは、文部科学省が公開している学制百年史です。

そこに、農林水産省の広報誌、鶴岡市のページ、札幌市のページを組み合わせました。

年や数字は、これらの資料に書かれているものだけを使っています。

資料によって書き方がちがう点は、そのことをお伝えします。

はっきり言えないことは、とされています、という形で話します。

なお、この本は、昔の話が中心です。

今の給食の費用のことや、これからの給食のあり方については、扱いません。

それは、意見が分かれやすく、日々動いている話だからです。

ここでは、歴史として確かめられることだけを、落ち着いてたどります。

第一章 お寺の本堂で配られた昼ごはん

日本の学校給食の始まりは、明治22年、西暦では1889年とされています。

場所は、山形県の鶴岡町です。今の鶴岡市にあたります。

学校の名前は、忠愛小学校といいました。私立の小学校でした。

大督寺というお寺の中にあった、と農林水産省の広報誌は紹介しています。

この昼ごはんを始めたのは、仏教の慈善団体だったと、文部科学省の学制百年史は伝えています。

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