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はじめに ― 信号機のない街を想像してみる
横断歩道の前で、信号が変わるのを待つ。
多くの人が、毎日のように、そうしています。
赤になれば止まり、変われば渡る。
あまりに自然で、考えることもありません。
けれども、ここで、少し想像してみてください。
もし、街じゅうの信号機が、ある日すべて消えたら。
交差点では、人も車も、どう動けばよいのか、迷うでしょう。
信号機は、静かに、街の動きをととのえているのです。
この信号機にも、始まりがありました。
日本の街に、初めて信号機が立ったのは、いつのことか。
そのとき、人々は、赤や黄のあかりを、どう受け止めたのか。
この本では、警察庁、警視庁、長野県警察が公開している資料をもとに、順番にたどります。
最初に、お断りしておきます。
信号の色の呼び方は、資料によって、緑と書いたものも、青と書いたものもあります。
この本は、色の呼び名の由来には、立ち入りません。
その理由は、公的な資料の本文で、確かめられなかったからです。
信号機が、いつ、どこに、どんな形で立ったのか。
その歴史だけを、確かめられる範囲で、お話しします。
使う資料は、次の五つです。
警察庁がまとめて公開している、警察白書の平成17年版。
警視庁の歴史のページ。
長野県警察の、信号機と免許証の歴史のページ。
警察庁の、エルイーディー式の信号灯器についてのページ。
そして、警察庁の、交通安全施設についてのページです。
白書は平成17年版なので、その数字は、平成16年ごろまでのものです。
いまの数字とは、ちがいます。
また、年や数字は、資料に書かれているものだけを使います。
最初の信号機がどこかといった話は、資料に基づいて、とされています、と言います。
取り締まりの決まりや、これからの交通のあり方については、扱いません。
それらは、意見が分かれやすく、いまも動いている話だからです。
題名の、三つのあかりとは、赤と黄と、もうひとつの色のあかりのことです。
色の名前をあえて言わず、三つのあかり、と呼ぶことにしました。
第一章 警察官の手と声 ― 信号機がなかった頃
信号機が立つ前、街の交通は、誰が整理していたのでしょうか。