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TORENDIA

右門捕物帖

本文約18,200字 ・ 読了時間 約37分

あらすじ(AIが作成しました)

浅草の小屋芸人お駒が鳶頭音蔵殺害の嫌疑で捕縛され、南町奉行所で吟味を受ける。証拠の匕首や傷口の不一致から無罪放免となるが、右門は釈放直後のお駒の身のこなしに疑念を抱く。その後、音蔵と同様の手口で新たな殺人が発生し、犯行がお駒による兄の仇討ちであったことが判明する。右門は彼女の決意を汲み取り、仇討ちの成就を条件にその罪を見逃して逃走を許し、再会の日を待つことにする。

佐々木味津三

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その第三十八番てがらです。

「ご記録係!」

「はッ。控えましてござります」

「ご陪席衆!」

「ただいま……」

「ご苦労でござる」

「ご苦労でござる」

「みなそろいました」

「のこらず着席いたしました」

「では、川西万兵衛、差し出がましゅうござるが吟味つかまつる。――音蔵殺し下手人やまがらお駒、ここへ引かっしゃい」

「はッ。心得ました。――浅草宗安寺門前、岩吉店やまがら使いお駒、お呼び出しでござるぞ。そうそうこれへ出ませい……」

しいんと呼びたてた声がこだまのようにひびき渡って、満廷、水を打ったようでした。春もここばかりは春でない。――日ざしもまどろむ昼さがり、南町奉行所奥大白州では、今、与力、同心、総立ち合いの大吟味が開かれようとしているのです。

罪は浅草三番組鳶頭の音蔵ごろし、下手人はいま呼びたてた同じ浅草奥山の小屋芸人やまがら使いのお駒でした。――という見込みと嫌疑のもとにお駒をあげたのはもうふた月もまえであるが、調べるにしたがって、下手人としてのその証拠固めがくずれだしてきたのです。どんなに責めても、知らぬ存ぜぬと言い張って自白しないのがその一つ、現場に落ちていた凶器証拠品のドスはまさしくやまがらお駒の持ち品であるが、殺されていた音蔵の傷口は、まるで似もつかぬうしろ袈裟の刀傷でした。それが不審の二つ、そのとき着ていたお駒の下着のすそに血がついていたが、しかしその血もお駒の言い張るところによると、銭湯のかえりにつまずいてすりむいた傷からの血だというのでした。事実、そのすりむいた傷のあとも、いまだにひざがしらに残っているのです。それが不審の三つ。――拷問、慈悲落とし、さまざまに手を替え品を替えて、この六十日間責めつづけてみたが、がんとして口を割らないばかりか、肝心の証拠固めにあいまい不審な狂いが出てきたために、与力同心残らずがかくのとおり立ち会って、最後のさばきをつけようというのでした。

「お待ちかねでござるぞ。やまがらお駒、何をしているのじゃ。早くこれへ出ませい!」

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