本文へ移動
TORENDIA

木蓮

本文約370字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

花が先か葉が先かで異なる白木蓮と紫木蓮の咲き方を見つめ、桜にも通じるその違いを人間の二つの型になぞらえる寺田寅彦の随筆。

寺田寅彦

速度
🎧 木蓮 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

白木蓮は花が咲いてしまつてから葉が出る。その若葉の出はじめには実に鮮かに明るい浅緑色をしてゐて、それが合掌したやうな形で中天に向つて延びて行く。丁度緑の焔をあげて燃ゆる小蝋燭を点しつらねたやうにも見える。

紫木蓮は若葉の賑かなイルミネーションの中から派手な花を咲かせる。濃い暗い稍冷たい紫の莟が破れ開いて、中からほんのり暖かい薄紫の陽炎が燃え出る。さうして花の散り終るまでにはもう大きな葉が一杯に密集してしまふ。

桜でも染井吉野のやうに花が咲いてしまつてから葉の出るやうな種類が開花の魁をして、牡丹桜のやうな葉と一緒に花をもつやうなのが、少しおくれて咲くところを見ると、これには何か共通な植物生理的な理由があるらしい。

人間でもなんだか、これに似た二種類があるやうな気がするが、何が「花」で何が「葉」だかが自分にはまだはつきり分らない。

完

寺田寅彦の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本