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TORENDIA

相対性原理側面観

本文約7,300字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

相対性原理の理解の困難さと、アインシュタインの学説に対する姿勢を論じる。世間では理解し難いとされるこの原理だが、科学において絶対的な完全は望めず、不完全さを認めることが理解への一歩であると説く。また、数学的な理解だけでなく、理論構成の道筋を追うことで、非専門家でもその体系の美しさや客観的な実在の相を味わうことは可能であると述べる。さらに、常識との乖離を恐れず論理を重んじる科学の姿勢や、抽象的な理論の中にこそ見出せる知的な美しさを綴る。

寺田寅彦

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🎧 相対性原理側面観 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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一

世間ではもちろん、専門の学生の間でもまたどうかすると理学者の間ですら「相対性原理は理解しにくいものだ」という事に相場がきまっているようである。理解しにくいと聞いてそのためにかえって興味を刺激される人ももとよりたくさんあるだろうし、また謙遜ないしは聞きおじしてあえて近寄らない人もあるだろうし、自分の仕事に忙しくて実際暇のない人もあるだろうし、また徹底的専門主義の門戸に閉じこもって純潔を保つ人もあるだろうし、世はさまざまである。アインシュタイン自身も「自分の一般原理を理解しうる人は世界に一ダースとはいないだろう」というような意味の事を公言したと伝えられている。そしてこの言葉もまた人さまざまにいろいろに解釈されもてはやされている。

しかしこの「理解」という文字の意味がはっきりしない以上は「理解しにくい」という言詞の意味もきわめて漠然としたものである。とりようによっては、どうにでも取られる。

もっとも科学上の理論に限らず理解という事はいつでも容易なことでない。たとえばわれわれの子供がわれわれに向かって言う事でも、それからその子供のほんとうの心持ちをくみ取る程度まで理解するのは必ずしも容易な事ではない。これを充分に理解するためには、その子供をしてそういう言辞を言わしむるようになった必然な沿革や環境や与件を知悉しなければならない。それを知らなければ畢竟無理解没分暁の親爺たる事を免れ難いかもしれない。ましてや内部生活の疎隔した他人はなおさらの事である。

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