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TORENDIA

爾雅の新研究

本文約12,400字 ・ 読了時間 約25分

あらすじ(AIが作成しました)

「爾雅」の成立過程と構成を考察する論考。言語学的に他言語と比較する手法と、諸経の発展過程と関連づける手法を提示する。伝来の成立説を検証しつつ、現存する諸篇が古語を釈す「釈詁」を基礎として、時代とともに順次附益されたものであると分析する。編纂の順序や内容の変遷を辿り、爾雅を資料とすることで、経書の発展過程や各時代の思想的背景を明らかにしようと試みる。

内藤湖南

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爾雅の研究に就いては余は嘗て之を二つの方面から考へたことがある。即ち一は新らしい言語學に依つて研究する方法であつて、これは爾雅が如何なる成立の書であるとも、又其の中に含んでゐる言語が如何なる時代、若しくは地方のものであるとも、それらのことを必ずしも穿鑿することなしに、單にこれを支那古代の言語を集めた書として、其の傍近の種族が有する國語に比較し、共通した語根を有するや否やを考へ、其の關係を明らかにするので、其の方法は東亞諸國の言語に對する智識を必要とするのであるが、余は嘗て主に東北塞外種族の言語即ち大體ウラルアルタイ語系に屬する言語から考へて、爾雅の中にそれらの言語と一致する言語があるか否かを檢し、其の一端を一度京都大學の言語學會で發表したことがある。當時余は別に稿本をも留めなかつたが、之に就いては他日一の研究論文として學界の批判を請ふべき機會があらうと思ふ。それから今一つの研究方法は爾雅を以て普通に傳へられてゐる如く諸經に對する辭書として、爾雅そのものゝ成立と同時に、諸經の發展をも相關係せしめて考へることであつて、其中の言語が如何なる時代若しくは地方のものであるかと云ふことも或る程度までは考へ得られるので、其の編纂された次序、意義等から推して、某の時代、某の地方の言語を含む經籍が、やはり某の時代、某の地方に於て竄改されたのでないかといふことを斷ずる資料とするのである。此方法に就いては余は久しき以前より興味をもつてゐたが、近頃此の方法に依つて少しく研究を試みた所があるので、猶ほ不完全ではあるが、兎も角其得たる所を發表して吾黨諸君の批判を請ふことにしよう。

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