小説の読みどころ
本文約1,700字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
小林多喜二の文学的業績とボルシェヴィク作家としての前進性を論じる評論である。著者自身の視点から、多喜二が闘争の裡で政治的に鍛練され、労働者階級の経験を内側から描くに至った過程を考察する。特に『地区の人々』や『党生活者』を取り上げ、天皇制権力の反動的手段を暴露する意義を指摘するとともに、プロレタリアートにおける下からの統一戦線の重要性と、階級的な視点に基づく批評の必要性を主張する。
💰 この本を応援する(投げ銭)
同志小林多喜二がボルシェヴィキの作家として実に偉かったところは、うむことないその前進性である。一つ一つの作品が必ず、それぞれに階級闘争の発展してゆく段階を何かの形で反映している。
われわれプロレタリア文学の仕事に従う者が、同志小林の業績によって深い鞭撻をうけるのは正にこの点である。彼が進み行く労農大衆の先頭に身を挺して立ち、その闘争の一部として小説を書きつづけて行った、この覚悟が同志小林を真のボルシェヴィク作家に鍛え上げ、作品をも益々大きいものにした。
「地区の人々」「転換時代」(この作品の本来の題は「党生活者」というのであるが、『中央公論』はおっかながって題をかえて発表した)について、われわれの学ぶところもそこであると思う。例えば、「地区の人々」をよんで、読者諸君はあの作品が従来の同志小林の作品に比べて、大変落付きがあり、文章にまでも大らかな確乎性が漲りはじめていることを感じたであろう。何故そういう変化が作品の上に起ったか。ブルジョア批評家がよく云うように、ただうまい、まずいの問題ではない。同志小林が前衛として益々全闘争の裡に深く入り、政治的に鍛練されることによって、これまでは謂わば外から描いていた積極的な主題を遂にその内側から書けるようになって来たことを示すものなのである。
「党生活者」は、真にボルシェヴィクらしい前衛作家によって前衛の生活がこまかく書かれた初めての作品として記念すべきばかりでない。