社会と人間の成長
本文約10,500字 ・ 読了時間 約21分
あらすじ(AIが作成しました)
一九二七年からソ連に滞在した経験を持つ著者が、自身の体験を交えながら社会と人間の関係について論じる。かつて捕虜としてソ連で生活した日本人が抱いた日本人の利己心への疑問を紐解き、人間性を規定する社会的条件について考察する。また、日本の家族観とソ連の社会制度の違いに触れつつ、一人一人が社会の担い手として運命を切り拓く可能性や、よりよい未来を築くための民主的な社会のあり方について意見を述べる。
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私は一九二七年から三〇年までソ連におりました。いまから考えれば大変古いことで、ちょうど第一次五ヵ年計画が始まったばかりのところです。ですから、皆様の方が新しい今日のソヴェトについては十分御存じのことでしょう。何を見ました、かにを見ました、というお話は申し上げません。私が深く動かされたこと、そして自分の一生に強く影響をうけたことは、どういうことであったか、ということを簡単にお話申し上げたいと思います。
私たち人間というものは、いつも歴史の中に生きております。社会の中に生きております。宙に浮いた存在ではありません。社会はどんな条件でわれわれに影響して来るものでしょうか。わたしたちは、自分たちの運命をよりよくして行きたいとどこでも何時でも努力しております。自分の運命の主人となる可能性というものは、社会の現実のどんな処にあるか、自分の生きている社会の中で、どういう風に自分たちで作って行けるものか、そういう点について、ソヴェトの社会の歴史は、生きた姿で非常に深い教訓を与えていると思います。過去において与えるばかりでなく、今日においても深い教訓を与えるものと思います。そして明日のためにも……。