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TORENDIA

婦人と思想

本文約5,100字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

日本の現状を論じる本作は、人間において最も貴い能力である『想うこと』『考えること』が、現在の日本社会、特に女性において著しく欠如していることを指摘する。著者は、盲目的に労働に従事するのではなく、理智を磨き、自己の権利や社会のあり方について深く考察することを提唱する。女性が自ら目を覚まし、頭脳と手足の両方を働かせる文明的な伴侶へと脱皮することで、男女対等の関係と真の幸福が実現されると説く。

与謝野晶子

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🎧 婦人と思想 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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行うということ働くということは器械的である。従属的である。それ自身に価値を有っていない事である。神経の下等中枢で用の足る事である。わたしは人において最も貴いものは想うこと考えることであると信じている。想うことは最も自由であり、また最も楽しい事である。また最も賢く優れた事である。想うという能力に由って人は理解もし、設計もし、創造もし、批判もし、反省もし、統一もする。想うて行えばこそ初めて行うこと働くことに意義や価値が生ずるのである。人が動物や器械と異る点はこの想うことの能力を有っているからである。また文明人と野蛮人との区別もこの能力の発達不発達に比例すると思う。

なぜわたしがかような解り切った事を書き出したかというと、日本人にはまだ考えるということが甚しく欠けている。特に日本婦人にはその欠点が著しく感ぜられる。わたしはそれを警告して自他の反省資料としたいのである。例えば現今の男子は皆金銭を欲して物質的の利を得ることに努力している。それがために沢山の営利事業が起り、幾多の資本家を富ましめ、多数の労働者が働いてはいるが、さて何故に金銭を要するかという根本問題について考えている人は極めて少いのである。唯盲目的に金銭の前に手足を動かしているに過ぎない。従って今の富といい経済というものは人生の最も有用なる目的のために運用せられずに、皮相的、虚飾的、有害的な方面に蓄積し交換せられる結果となり、これを蓄積し交換する手段方法においても、罪悪と不良行為とを敢てして愧じず、いわゆる経済学とか社会学とか商業道徳とかいう事は講壇の空文たるに留って毫も実際生活に行われていないのである。

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