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TORENDIA

三輪の麻糸

本文約840字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

大和国の美しい姫、活玉依姫のもとへ夜ごと通う気高い若者は、正体不明のまま夫婦となる。親の教えに従い、姫が若者の着物のすそに麻糸の玉を縫いつけると、朝には糸が外の鍵穴へと続いていた。その糸を辿った姫は、糸が三輪山のお社まで続いていることを知り、若者の正体が大物主命であったと気づく。三輪山という名の由来となった伝説を収める物語である。

楠山正雄

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🎧 三輪の麻糸 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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一

むかし神代のころに、大国主命の幸魂、奇魂の神さまとして、この国へ渡っておいでになった大物主命は、後に大和国の三輪の山におまつられになりました。さて、その山を三輪山というについて、こういうお話が伝わっています。

ある時大和国に、活玉依姫という大そう美しいお姫さまがありました。

この活玉依姫の所へ、ふとしたことから、毎晩のように、大そう気高いりっぱな若者が、いつどこから来るともなくたずねて来ました。そのうちに、とうとう若者は、お姫さまのお婿さんになりました。

間もなくお姫さまには子供が生まれそうになりました。ところで、そのお婿さんははじめから、夜おそく来ては、夜の明けないうちに、いつ帰るともなく帰ってしまうので、お姫さまのほかには、だれもその顔を見知ったものもありませんし、どこのだれだということは、お姫さますら知りませんでした。

二

お姫さまのおとうさまとおかあさまは、ふしぎに思って、どうかしてそのお婿さんの正体を見届けたいと思いました。そこである日お姫さまに向かって、

「今夜お婿さんの来る前に、部屋にいっぱい赤土をまいてお置き。それから麻糸を針にとおしておいて、お婿さんの帰るとき、そっと着物のすそにさしてお置き。」

といいつけました。

お姫さまはその晩いいつけられたとおり、大きな麻糸の玉をお婿さんの着物のすそに縫いつけておきました。

あくる朝見ると、麻糸の先は針がついたまま戸の鍵穴を抜けて、外へ出ていました。そして麻糸が引かれるにつれて、糸巻はくるくるとほぐれて、もう部屋の中にはたった三まわり、輪になっただけしか、糸は残っていませんでした。

お婿さんが戸の鍵穴から出て行ったことが、これで分かりましたから、お姫さまはその糸をたぐりたぐり、どこまでもずんずん行ってみますと、糸はおしまいに三輪山のお社の中に入って、そこで止まっておりました。

それではじめてお婿さんが大物主命でいらっしゃったことが分かりました。そして糸が三輪あとに残っていたので、その山をも三輪山と呼ぶようになりました。

完

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