瘤とり
本文約4,700字 ・ 読了時間 約10分
あらすじ(AIが作成しました)
山で嵐に遭った右ほおに瘤のあるおじいさんは、雨宿りをした木のうろで鬼たちの宴会に遭遇する。恐怖の中、鬼の踊りに魅せられたおじいさんは自ら飛び出し、ひょうきんな踊りを披露して鬼たちを喜ばせる。鬼は翌晩の再会を約束し、担保として瘤をねじ切る。これを知った左ほおに瘤のある隣のおじいさんは、同様に瘤を取ってもらおうと山へ向かい、鬼の前で踊りを披露するが、拙い踊りで鬼の怒りを買い、逆に瘤を一つ増やされてしまう。
💰 この本を応援する(投げ銭)
一
むかし、むかし、ある所に、一人のおじいさんがありました。右のほおにぶらぶら大きな瘤をぶら下げて、始終じゃまそうにしていました。
ある日、おじいさんは山へ木を切りに行きました。にわかにひどい大あらしになって、稲光がぴかぴか光って、ごろごろ雷が鳴り出しました。そのうち雨がざあざあ降ってきて、うちへ帰るにも帰れなくなりました。どうしようかと思って見回しますと、そこに大きな木のうろを見つけました。しかたがありませんから、その中に入って、雨の小やみになるのを待っているうちに、いつか日はとっぷりくれてしまいました。
深い山の中には、もうきこりの木を切る音もしません。木のうろの外は、一面真っ暗やみの中に、すさまじいあらしが、うなり声を立てて通っていくだけです。
おじいさんはこわくって、こわくって、たまらないので、夜通し目も合わずに、うろの中に小さくなっておりました。
夜中になって、雨がだんだん小降りになり、やがてあらしがぱったりやみますと、はるか高い山の上から、なんだか大ぜいがやがや騒ぎながら、下りてくる声がしました。
おじいさんは今まで一人ぼっちで、寂しくってたまらなかったところですから、声を聞くとやっと生き返ったような気がしました。
「やれやれ、お連れが出来て有り難い。」
といいながら、そっとうろの中から顔を出してのぞいてみますと、まあどうでしょう、それは人ではなくって、ふしぎな化け物が、何十人となくぞろぞろ出てくるのです。青い着物を着た赤鬼もいました。赤い着物を着た黒鬼もいました。それが山猫の目のようにきらきら光る明かりを先に立てて、どやどや下りてくるのです。
おじいさんは肝をつぶして、またうろの中へ首を引っ込めてしまいました。そしてぶるぶるふるえながら、小さくなって息を殺していました。