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TORENDIA

パラティーノ

本文約9,200字 ・ 読了時間 約19分

あらすじ(AIが作成しました)

ローマの七つの山の中で最も要害堅固な地として知られるパラティーノ。伝説上の創始者ロムルスによる建国から、帝国時代の歴代皇帝による宮殿の営みまで、歴史的な遺物や変遷が深く刻まれている。この丘を巡る見聞を通じ、ローマの伝説的発祥の地としての神聖さや、複雑かつ膨大な歴史背景、そしてかつての邸宅や遺構に残る当時の面影を辿りながら、その形勝の地としての魅力を綴る。

野上豊一郎

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一

まだローマになじまないうちは、あまりに多く見るべき物があるので、どこへ行っても、何を見ても、いつもあたまが混迷して、年代史的に地理的に整理しながらそれ等を見ようとするのにかなり骨が折れた。例えばフォーロ・ロマーノ(フォルム・ロマヌム)一つ見るにしてもそうである。古代ローマの最大の広場とはいっても、パラティーノ、カピトリーノ、ヴィミナーレ、エスクィリーノの四つの山の谷間に横たわる長さ六百米にも足りない細長い面積ではあるけれども、其処には紀元前六世紀頃からの各時代各種の建物の遺物が堆積していて、なかなか一度や二度の訪問では、様式の変遷とか素材の種類とか、またそれに関連した昔の市民の信仰の特殊性とか政治的背景とか市民生活の状態とかいったようなものが容易に捉めるものではない。それが捉めなかったら見物の意味は殆んどなくなってしまう。それは一例だが、大きくいえばローマ全体が一つの大きな博物館のようなもので、どこへ行っても、年代史的に、考古学的に、文化史的に、美術史的に、理解と鑑賞を必要とするものが、複雑多様に包蔵されてある。それ等を見物して一々秩序正しく記憶の薬味箪笥にしまい込むためには、並大抵の努力では追っ付かない。第一、訪問の度数を重ねなければならない。そうして親しみなじむことが肝腎である。その前に十分の準備をして概念的に予備知識を貯えて置くことはもちろん必要であり、それを後で修正したり補足したりして確実な知識に作り上げることも怠ってはならない。それほど、ローマは見物の対象としては内容豊富で複雑だから、ローマについて思い出を書いて見ようとしても、当時のノートをめくって見るだけでも億劫なくらいである。

此処ではパラティーノについて書いて見よう。

二

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