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TORENDIA

最小人間の怪

本文約2,000字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

大正十五年、霧島の山中で動物の生態研究をしていたN博士は、雪の中に現れた背丈二三センチの微小人間ヤナツと出会う。ヤナツは自身が人類滅亡後に地球を支配する高等生物であると語り、博士を仲間の待つ洞穴へ誘う。そこで博士は、自在に大きさを変える不思議な微小人間たちの姿を目撃し、その後上野科学博物館でかつて遭遇したはずの者の首を偶然発見する。本書は、不可解な種族との遭遇と恐怖の体験を綴る。

海野十三

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🎧 最小人間の怪 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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この秘話をしてくれたN博士も、先々月この世を去った。今は、博士の許可を得ることなしに、ちょっぴり書き綴るわけだが、N博士の霊魂なるものがあらば、にがい顔をするかもしれない。

以下は、N博士の物語るところだ。

私は大正十五年十二月二十六日の昼間、霧島の山中において、前代未聞の妖怪に出会った。

当時私は、冬山における動物の生態研究をつづけていたのだ。

私はキャンプを張り、幾週間も山中で起き伏していた。あたりはかなり深い山懐で、木樵も見かけず、猟師にさえ会わなかった。私ひとりでこの深山を占有しているような気持がし、私の心は暢々としていた。

或る朝、起きてキャンプを出てみると、外は真白になっていた。降雪が夜のうちにあったのだ。そしてその日、妖怪に出会ったのである。

その妖怪は雪どけの水が落ちて、水溜を作っているそのそばにいた。はじめは蛙の子がうごめいているように思ったが、蛙の子にしてはすこし変なので、よく見ると、それはふしぎにも人間の形をしたものであった。が、人間ではない。背丈が二三センチに過ぎなかった。

私は胸がどきどきして来た。めずらしい発見を喜ぶと共に、うす気味がわるい。が、私はこの微小人間をぜひとも採集して行こうと思い、ピンセットを出して、彼の胴中を挟もうとした。

するとその微小人間は、身体に似合わぬ大声を出して、そんな乱暴をするなと私を押し停め、自分は逃げるつもりはないから、安心し、吾れと語れといった。

私たちは、それからふしぎな会話をつづけた。その微小人間は、自分はヤナツという者だがと名を名乗り、自分たちは、やがて君たち現代の人類が滅亡したあとにおいて、人類に替って地球上の最高智能生物となり、地球を支配するのだと大真面目でいった。

私は滑稽を感じて、もうすこしで噴き出すところだったが、辛うじて耐えた。こんな蛙の子みたいな妖怪に、わが人類のあとを継がれてたまるものかと思った。

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