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TORENDIA

演出者として

本文約500字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

芸能祭の臨時公演において戯曲「歯車」を演出することとなった岸田國士が、その作品の主題と形式について考察を綴る。都会と農村の相関性や社会における個人の在り方を象徴する歯車というモチーフを軸に、時局下の産業の現場を通じた現代市民の日常を描く。物語構成の意図や、舞台化に際して否定ではなく肯定の姿勢を貫き、明日への希望を込めた制作の過程と狙いについて記す。

岸田國士

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🎧 演出者として / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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芸能祭の為の臨時公演として、特に内村直也君の書卸ろした戯曲「歯車」を幹事会の指名によつて私が演出することになつたのだが、私は先づ、この戯曲の主題と形式について研究した。表題の歯車は都会と農村との相関性を象徴すると同時に、社会の有機的な活動単位に於ける「個人」の在り方について一つの暗示を含むものと解釈した。

この作品はかういふ主題を率直に時局下の産業部門の面に当て嵌め、かなり単純な手法で分り易く大衆の理解に訴へようとしたものである。従つて構成にはすこしのトリツクもなく、人物の一人一人はもつとも健康な姿に於て現代の市民の日常性を示し、辛辣な批判のかはりに祝典劇にふさはしい寛容な取扱ひを受けてゐる。

この作品を舞台化する為の努力は、演出者も俳優もすべて、この基調を先づ活かすことに集注された。我々は否定するよりも肯定しようとしてゐる。我々は疑ひを先づ封じた、そして、すべての眼を希望の一路に向けた。この作品からは、色々な原因で、まだ壮大にして華麗なものは生れなかつたけれど、すくなくとも我が文学座の若い生命が、この舞台を通じて静かに明日への祈願をこめてゐることは、同情ある観客諸氏の胸に通じるであらう。

完

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