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TORENDIA

雑信(一)

本文約520字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

新年句会の欠席に対する詫びと、自身のぐうたらな性分への諦念を綴る。持て余す己の身を綴りつつ、当分の間俳句をはじめとする一切の文芸から離れる決意を表明する。関係者との別れを告げ、再起を期して記された書簡である。

種田山頭火

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🎧 雑信(一) / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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新年句会には失敬しました、あれほど堅く約束していた事ですから、私自身は必ず出席するつもりでしたけれど、好事魔多しとやらで、飛んでもない邪魔が這入って、ああいうぐうたらを仕出来しました、何とも彼とも言訳の申上様もありません、ただただ恐縮の外ありません、新年早ぐうたらの発揮なんぞは自分で自分に愛想が尽きます、といったところで、ぐうたらは何処まで行ってもぐうたら、何時になってもぐうたらで、それは私の皮膚の色が黒いのとおなじく、私の性であります、私自身さえ何うする事も出来ません、有体に白状しますれば私は我と我が身を持ち倦んでいるのです、丁度、気の弱い母親が駄々ッ児の独り息子を持て余していますように、

我に小さう籠るに耳は眼はなくも

泥田の田螺幸もあるらむ

突然ですが、少しく事情があって当分の間、俳句、単に俳句のみならず一切の文芸に遠ざかりたいと思います、随って名残惜しくも、皆様と袖を分たねばなりません、今年は子の年ですから、仁木の鼠みたいに、また出直して来るつもりではありますが、一応お別れします、色々御厄介になりました、皆様、御機嫌よう。

毒ありて活く生命にや河豚汁

一月十八日午前十時

田螺公 謹んで申す

(椋鳥会五句集『河豚』明治四十五年一月)

完

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