松山日記
本文約26,700字 ・ 読了時間 約54分
あらすじ(AIが作成しました)
昭和十五年の松山にて、山頭火が綴った日記。句稿の整理に追われる日々や、一洵ら知友との交流、椿祭の賑わい、句会での句碑建設の相談などを描く。一方で、飲酒に溺れての失敗や経済的な困窮、自己への嫌悪に苦悩する姿も克明に記される。身心不調と戦いながら俳句を詠み続け、自身の生活体制を清算しようと葛藤する等身大の日常を映し出す。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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“同塵居” 誓詞に代へて
我昔所造諸悪業
皆由無始貪瞋痴
従身語意之所生
一切我今皆懺悔
三帰礼
自から仏に帰依し奉る 当に願はくは衆生と共に
大道を体解して 無上意を発さん
自から法に帰依し奉る 当に願はくは衆生と共に
深く経蔵に入りて 智慧海の如くならん
自から僧に帰依し奉る 当に願はくは衆生と共に
大衆を統理して 一切無礙ならん
願以此功徳 普及於一切
我等与衆生 皆共成仏道
紀元二千六百年元日
輝かしい新世紀の黎明。――
午前九時、聖寿万歳斉唱、黙祷。――
新年誓詞――
“こゝに昭和十五年の元旦を迎へ恭しく聖寿の万歳を寿ぎ奉り、いよ/\肇国の精神を顕揚し、強力日本を建設して新東亜建設の聖業完遂に邁進し、もつて紀元二千六百年を光輝ある年たらしめんことを堅くお誓ひ申します。”
二月十一日 曇――雨。
紀元節、新らしい世紀を意識し把握し体得せよ、殆んど徹夜だつた、句稿整理。
午前、道後温泉入浴、護国神社参拝、午後、一洵兄と同道して月村君を訪ね、三人打連れて漫歩漫談、降りだしたので急いで帰つた。
今日も飲みすぎだつた、酒を慎しむべし、己を省みるべし、シヨウチユウよ、さよなら!(消極的に日本酒だけを味ふべし)落ちついて雨ふる、雨ふりて落ちつく。……
徹夜執筆。――
二月十二日 雨。
門外不出、終日徹夜して専念に句稿を整理する、みづから選ぶ、――むつかしい/\、つゝましくすなほに、しづかにおちついて仕事をする、善哉々々。
一昨日、S寺で書きなぐつた全紙の揮毫が気になつてしやうがない、破るべし/\、破らなければならない/\、一洵炊君にたのんで何とかしてもらふことにして、ほつと安心、こだはるな/\、よか/\。
(酔中乱筆、なつちよらん!)
二月十三日 雨――曇。
あまり寝ないで稿をすゝめる、明日までには“鴉”を、数日内に一代集の原稿をまとめなければならない。……
藤君へ手紙をやつと出した、ほつと冷汗を流した、書きたくない、しかも書かなければならない手紙だつた!
散歩がてらポストまで出かけた、買物いろ/\。