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TORENDIA

半日の閑話

本文約3,500字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

人間が若い頃の世間への反抗から中年以降の融和へと至る心の変遷や、世の中や歴史に対する独自の洞察を綴る。文芸を志す者として他者との深い関わり合いや批評の精神を説くとともに、現代の文壇が抱える生活との乖離を指摘する。また、時の流れとともに変容する社会や自己が歴史の堆積の一部であることを感じ取り、歴史上の人物を現代的な解釈で捉え直し、過去の空気を再現しようとする創作への姿勢を論じる。

田山録弥

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🎧 半日の閑話 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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一

人間の一生を縦に考へて見ただけでも、世間に就ての考へ方は各自に、非常に違つて来るやうなものである。若い頃には誰でも大概は世間に圧されてゐる。意味なしに上から圧迫されてゐる。従つて弱いものはいぢけ、強い者は反抗するといふやうな態度を取るやうになつてゐる。それといふのもさういふ時代には、対象は十の八九まで世間であつて、何うかして人並になりたい、世間並になりたい、世間のひとりとして認められたいと思つてゐるからである。反抗するものでも、いぢけたものでも同じやうに思つてゐる。唯、その中ですぐれた才能と頭脳とを持つたものだけが、本当の人間の心の世界が世間の底に深く蔵れて横はつてゐることを察知することが出来るのである。

で、壮年から中年になる。今度はいやでも応でも世間の中に入つて行かなければならなくなる。無理やりにでも割り込んで行かなければならなくなる。そして運好く機会をつかんだ場合には、忽ちにして世間の巴渦の唯中に入つて行くことが出来るのである。そして(何んだ、こんなものか。離れて見てゐた時には、大変わかりにくい面倒なものに思はれたが、実際当つて見ると、何だ!、こんなものか。世間なんて存外甘い平凡なものだな。成ほど群衆心理といふことがあるが、これなら、うまくそれに乗れば、首領にも英雄にもなれるわけだな! 存外、世間は楽にわたれるやうに出来てるのだな!)かう思ふやうになるのである。そしてそれは強者の成功者ばかりではなく、頭のいぢけた弱者に取つてもさういふ気がするに違ひないと私は思つてゐる。

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