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TORENDIA

日本のやきもの

本文約3,300字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

日本の陶磁器の歴史を追い、芸術作品としての価値を論じる。平安時代に中国文化の影響を受けた陶磁器は、十六世紀に大成した茶の湯を通じて、日本人の趣味生活に定着した。桃山時代には、田中長次郎や本阿弥光悦ら卓越した作家が輩出し、独自の美を確立した。各地に伝わる無名の名工の作品とともに、それらの美意識は今日まで日本の文化の中に息づいている。

北大路魯山人

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多くの文明諸国におけると同じ様に、日本でも、やきもの、つまり陶磁器が日常生活の什器として使用され始めた時期は、遠く紀元前数世紀に遡ることが出来る。けれども、陶磁器が諸々の趣味生活の素材として取上げられ始めたのは、遥かに後代のことらしい。九世紀から十二世紀にかけて、日本では平安朝時代と呼ばれる、宮廷文化の華やかであった時代が続いたが、この時代は主として中国文化を輸入して、万事これを範とした時代であった。それで陶磁器についてもこの時代は中国歴代の王朝時代唐、宋の産物を輸入し、その美麗な色彩を持つ什器を珍重して楽しんだ時代であると言えよう。この時期に輸入された中国文化は、精神面においては所謂仏教文化であった。日本はこの時期から降って十八世紀に至る迄、仏教文化の影響を、ひとり精神面のみならず物的な面でも強く受け取ることになるのであるが、この仏教文化のもたらしたものの中に「茶の湯」というものがある。この茶の湯と呼ばれる行事は、十六世紀になって、大略完成された。喫茶に伴う諸動作を形式化した社交的行事、あるいは遊戯であるが、これは上流の子弟男女にとっては、一面ではしつけ礼節を訓練する手段であると共に、他方では、その内容とする趣味生活に対する心構えを養ったものであった。

一見殆ど飾り気のない簡素な狭い茶室で地味な茶器を用い、しかも厳格な方式に則って行なわれる諸動作を通じて、この「茶の湯」に上達しようと志す者は、ある種の美、無形、無色、単純の美、少なく描くことに依って、より多くの効果を表現せんとする美の一つの型、この様な仏教的世界観の産物であるある種の美的観念を理解する様に教えられた。この茶の湯に用いられる諸道具――茶碗として、水指として、酒器として、花器として陶磁器はなくてはならないものであった。

こうして茶の湯を通して陶磁器は、日本人の趣味生活の中に、不抜の地歩を占めることになるのである。

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