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TORENDIA

神の剣

本文約16,000字 ・ 読了時間 約33分

あらすじ(AIが作成しました)

芸術が栄華を極め、独自の美学に酔いしれるミュンヘンの街に、一人の青年ヒエロニムスが降り立つ。彼はある美術商館へ向かい、そこで展示される華美な芸術品やそれらを称賛する世間の様子に強い嫌悪を抱く。自らの信念を訴え、芸術の焼却を求めるヒエロニムスは、商館の主人とその従者によって街へと追い出される。拒絶された彼は、広場で芸術が焔となって燃え尽きる幻影を目の当たりにし、神の審判を告げる言葉を口にして街を去る。

トオマス・マン Thomas Mann

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ミュンヘンは輝いていた。この首都の晴れがましい広場や白い柱堂、昔ごのみの記念碑やバロック風の寺院、ほとばしる噴水や宮殿や遊園などの上には、青絹の空が照り渡りながらひろがっているし、そのひろやかな、明るい、緑で囲まれた、よく整った遠景は、美しい六月はじめのひるもやの中に横たわっている。

小路という小路には、鳥のさえずりとひそかな歓呼が聞える。――そしてほうぼうの広場や大通りには、この美しい穏かな都の、急がぬ楽しげないとなみが、ゆれ動き、波打ち、かすかなうなりを立てている。あらゆる国々の旅客たちは、見境のない好奇の眼で、左右の家々の壁を見上げながら、小さいのろい辻馬車を乗りまわしたり、美術館の入口の階段を昇ったりしている。

ほうぼうの窓が開け放たれていて、中から音楽が往来へもれひびいてくる。ピアノ、ヴァイオリン、またはセロなどの練習――誠実な善意な素人的な努力である。「オデオン」ではしかし、数台のグランド・ピアノを真剣に勉強しているのが聞える。

ノオトゥングの楽旨を口笛に吹いたり、夜になると、近代的な劇場のうしろの座席をみたしたりする若い人たちは、上着の横がくしに文学雑誌を入れたまま、大学や国立図書館を出つ入りつしている。トルコ街と凱旋門との間に、白い両腕をひろげた美術学校の前には、宮廷馬車が一台とまっている。そして表階段の一番上には、色あざやかな幾群をなして、モデルたちが――絵のような老人や子供や女たちが、アルバニア山地の服装で、立ったり腰かけたりしゃがんだりしている。

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