TRENDIA CLASSIC

墓地へゆく道

トオマス・マン Thomas Mann

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墓地へゆく道は、ずっと国道に添うて走っていた。その目的地、つまり墓地に達するまで、ちっとも国道を離れずに走っているのである。その道のもう一つの側には、まず人家がある。郊外の新築の家々で、まだ職人の入っているのもある。それから畑が来る。縁に、ごつごつした中老の山毛欅の樹が立並んでいる国道のほうは、半分だけ鋪石が敷いてあって、半分は敷いてない。しかし墓地へゆく道のほうは、砂利があっさり撒いてあるので、踏み心地のよい歩道のような体裁になっている。雑草と野花でいっぱいの、狭い乾いた溝が、この両方の道の間を通っている。

それは春だった。もうほとんど夏だった。世界は微笑していた。ひろやかな青大空は、一面に小さいまるい濃密な雲の断片で点綴せられている。おどけた形をした雪白の小さな塊が、点々として到るところに浮んでいるのである。小鳥が山毛欅の樹にさえずっているし、畑を越して軟らかな風が吹いて来る。

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