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TORENDIA

なめとこ山の熊

本文約7,300字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

熊撃ちの名人・小十郎は、生きるために熊を撃つ。熊とのあいだにある、奇妙な絆と、その最期を描く。

宮沢賢治

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🎧 なめとこ山の熊 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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なめとこ山の熊のことならおもしろい。なめとこ山は大きな山だ。淵沢川はなめとこ山から出て来る。なめとこ山は一年のうち大ていの日はつめたい霧か雲かを吸ったり吐いたりしている。まわりもみんな青黒いなまこや海坊主のような山だ。山のなかごろに大きな洞穴ががらんとあいている。そこから淵沢川がいきなり三百尺ぐらいの滝になってひのきやいたやのしげみの中をごうと落ちて来る。

中山街道はこのごろは誰も歩かないから蕗やいたどりがいっぱいに生えたり牛が遁げて登らないように柵をみちにたてたりしているけれどもそこをがさがさ三里ばかり行くと向うの方で風が山の頂を通っているような音がする。気をつけてそっちを見ると何だかわけのわからない白い細長いものが山をうごいて落ちてけむりを立てているのがわかる。それがなめとこ山の大空滝だ。そして昔はそのへんには熊がごちゃごちゃ居たそうだ。ほんとうはなめとこ山も熊の胆も私は自分で見たのではない。人から聞いたり考えたりしたことばかりだ。間ちがっているかもしれないけれども私はそう思うのだ。とにかくなめとこ山の熊の胆は名高いものになっている。

腹の痛いのにもきけば傷もなおる。鉛の湯の入口になめとこ山の熊の胆ありという昔からの看板もかかっている。だからもう熊はなめとこ山で赤い舌をべろべろ吐いて谷をわたったり熊の子供らがすもうをとっておしまいぽかぽか撲りあったりしていることはたしかだ。熊捕りの名人の淵沢小十郎がそれを片っぱしから捕ったのだ。

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