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TORENDIA

ペーチャの話

本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

ソビエト同盟の農村で暮らす十一歳の少年ペーチャは、ピオニェールの活動を通じて集団農場の利点を理解する。しかし、周囲では集団農場化に反対する富農レスコフや、現状維持を望む村人たちが対立を深めていた。両親が方針の違いから決別し、母親が父親を追って家を出ていくという苦難に直面しても、ペーチャは己の信念を曲げず、集団農場の一員として新しい農業の形を信じ、同志たちと共に働き続ける少年のひたむきな姿を描く。

宮本百合子

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🎧 ペーチャの話 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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ペーチャは十一だ。サヴェート同盟の百姓の息子だ。うちには牝牛が一匹、鶏が八羽、豚が四匹に、猫と犬とがいる。

春から秋の末まで、おとっさんとおっかさんは一日、朝から晩まで畑で働いた。サヴェートでは日本でタンボをつくるように麦畑をつくる。馬鈴薯、玉ネギ、キャベツなどもつくる。

ペーチャの親たちは、自分の畑のほかに、村の金持の百姓レスコフの畑でも働いた、つまり小作をやっていたんだ。

ペーチャはピオニェールで、学校ではよく勉強したし、家の仕事もよく手伝った。牛をキャベツ畑から追っぱらった。草苅をした。ジャガ薯掘りなんかと来たら、うまいこと、大人にだってまけやしない!

ところが、村にこういう噂がひろまって来た。サヴェート同盟じゃ、今度すっかり畑の作りかたを代えちまうんだそうだゾ。一軒一軒がわけて作ってる畑をみんなまぜて、一つにしちまってみんなが共通で機械で耕したり、種を蒔いたり、苅入れしたりするようにするんだそうだ。村の年よりどもはビックリして早速教会の坊さんのところへかけつけた。そして、きいた。

「ねえ坊さま。いってえ俺たちの村はどうなるだんべ。畑の区切りなくして、お前さまノペタラに麦なんどこせえたら、どっからどこまでが俺の分だか、ひとにとられたって分りもしねえ。そういう集団農場なんてのは、いやだナア」

坊主は、プロレタリアのサヴェートがきらいだ。サヴェートになってから農民はドシドシ字がよめるようになって来た。道理がわかって来て、この世にいもしない神様を信じて、坊さんに財布ハタイて布施を出すことをだんだんしなくなって来た。だからいつだってサヴェートの敵だ。村の年よりのグチをきいてこれ幸いと、

「そうとも! そうとも!」

とおだてあげた。

「集団農場なんか下らん! プロレタリア農民にいいことなんかないんだ。反対しなさい」

村に伝わった集団農場の噂でビックリしたものがほかにもいる。それは富農のレスコフだ。

太って、デカイ腹に時計の鎖をたらしたレスコフは或る日ペーチャの両親をテーブルの前へよびつけて云った。

「ナア、お前たち、こんどはいよいよこの村も集団農場になりそうだが、賛成かネ?」

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