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TORENDIA

物理学と感覚

本文約7,900字 ・ 読了時間 約16分

あらすじ(AIが作成しました)

人間が自然界について得る知識は五感に頼るが、感覚は個人差が大きく不確実である。本稿は、科学的知識の普遍性を確立するために感覚という主観を放棄し、外界を標準として判断する「非人間的自然観」を論じる。物理学の発展に伴い、光や音の概念が人間の感覚から離れ客観的な物理法則へと移行した過程を振り返り、物理学が人間の歴史や要求を反映した人工的な造営物であるという事実と、その概念が将来変化する可能性を考察する。

寺田寅彦

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人間がその周囲の自然界の事物に対する知識経験の基になる材料は、いずれも直接間接に吾人の五感を通じて供給されるものである。生まれつき盲目で視神経の能力を欠いた人間には色という言葉はなんらの意味を持たない、物体の性質から色という観念をぬき出して考える事がどうしてもできない。トルストイのおとぎ話に牛乳の白色という観念を盲者に理解させようとしてむだ骨折りをする話がある。雪のようだと言えばそんなに冷たいかとこたえ白うさぎのようだと言えばそんなに毛深い柔らかいのかと聞きかえした。

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