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TORENDIA

予の描かんと欲する作品

本文約2,600字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

創作に対する自身の考えと作家としての姿勢を綴る。執筆に際して特定の主義主張や教訓を先行させず、何物にも支配されない純粋な芸術作品の創造を目的とする。また、特定の哲学的意図を優先して登場人物や出来事を歪めることへの懸念を示し、自然な描写を通じて結果的に教訓が生まれることの意義を論じる。イブセンとショウを対比させつつ、作品としての生命がいかにして宿るかについて自身の文学観を詳述する。

夏目漱石

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🎧 予の描かんと欲する作品 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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如何なるものを描かんと欲するかとの御質問であるが、私は、如何なるものをも書きたいと思う。自分の能力の許す限りは、色々種類の変化したものを書きたい。自分の性情に適したものは、なるべく多方面に亙って書きたい。然し、私のような人間であるから、それは単に希望丈けで、其希望通りに書くことは出来ないかも知れぬ。で、御質問に対して漠然としたお答えではあるが、大抵以上に尽きて居る。私は、或る主義主張があって、その主義主張を創作に依って世に示して居るのではない。であるから、斯う云うものを書いて斯うしたいと云う、局部的な考えは別にない。従って、社会一般に及ぼす影響とか、感化とか云うけれ共、それも、作物の種類、性質に依って自[#底本のルビは「おのず」]ら生じて来るものであるから、斯う云う方面の人を、斯う云う風に、斯う云う点で影響しようと云うのは、茲に判然と具象的に出来上ったものに就て云うことで、それを、作物の未だ出来上って居ない未来のことに就て、今茲に判然と云うことは出来ない。

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