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TORENDIA

洪水大陸を呑む

本文約6,400字 ・ 読了時間 約13分

あらすじ(AIが作成しました)

人生に絶望する少年三四郎は、科学者のおじさんが発明した顕微集波器で一万年前の光景を見る。そこには高度な文明を誇りながらも、二つの月の消滅と大津波によって海へ沈んだアトランチス大陸があった。目の前の過酷な歴史を目撃した三四郎は、人間の力の小ささを知りつつも、努力と進歩を続ける人類の可能性に希望を見出す。彼は悲観的な考えを改め、未来のために長生きして世界に貢献しようと決意し、新たな意欲を燃やす。

海野十三

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🎧 洪水大陸を呑む / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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ふしぎな器械

「ぼく、生きているのがいやになった」

三四郎が、おじさんのところへ来て、こんなことをいいだした。

「生きているのがいやになったって。これはおどろいたね。子供のくせに、今からそんなことをいうようじゃ心ぼそいね。なぜそう思うんだい」

しらが頭に、度のつよい近眼鏡をかけた学者のおじさんは、本から目をはなして、たずねた。

「だって、ちっともおもしろいことがないんだもの」

「ふん、なるほど」

「おなかはいつもすいているしね、ほしいものは店にならんでいるけれど、高くて買えやしないしね」

「ああ、そうか、そうか」

「その品物だって、とびつくほどほしいものもないし、それから大人の人は、みんな困った困ったおもしろくないおもしろくないといっているしね、ぼくは大人になるのがいやになったの」

「なかなか、いろいろ考えたもんだね。大人になるよろこびがなくなっては、もうおしまいだな。しかしだ、生きているのがいやになったなどというのは人間として卑怯だと思う。また人間というものは、もっと広い世界へ目をやり、遠い大きな仕事のことを考えなくてはならない。いや、そんなお説教をするよりも、今おじさんが三四郎君を一万年ばかり前の世界へあんないしてあげよう。そこで君は、どんな感想をもつだろうか。あとでおじさんは、君に質問するよ」

「ほんとですか。一万年も前の世界へ行くって、そんなことはできないでしょう」

「いや、それがちゃんと、できるのだ。おじさんがこしらえた器械をつかえば、そういう古い時代の有様が見えるんだ。映画のようにうつるんだ。ただ残念なことに、その時代の人々がしゃべっている声が、十分に再生できないんだ」

「じゃあ、トーキではない無声映画というのがありますね。あれみたいなものですか」

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